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“※アイゼンの擬人化イメージ、屈強な好々爺、ダニエル?”
ヴィータ「〜〜♪」
アイゼン「む? マスター、今日はどうしたのだ?休みでは?」
ヴィータ「あぁ、休みだからゲートボールやりに行くんだ」
アイゼン「ゲートボール・・・あぁ、あれですな」
ヴィータ「アイゼンも一緒に行かねーか?どーせ暇だろ?」
アイゼン「ふむ・・・そうですな、ついていくとしますかの」






「…?」
天井、視覚により確認。
現状、やわらかい何かの上。主がクッションの上にでも乗せてくれたのだろうか?
と、現状確認をしていると、強烈な違和感がした。
今まで私は一つの『意識ある物体』であり、自由に動けるものではなかった。無論、体は非常に小さなものである。そう、普段の私の形状は『三角形の金の宝石』である。そしてデバイスフォームになろうとも、それは所詮『魔導師の杖』である。
長々と何が言いたいのかというと、私は『自分では魔法無しでは動けない金の宝石』であり、『主のための魔導師の杖』であるにも関わらず、手足と呼ばれるものの感覚が漠然とあるというのは、私にとって、強烈な違和感以外の何物でも無いのだ。
右手を顔の前にかざす。間違いなく『人間』の手である。主のそれより若干太く、厚く、硬そうに見える。
首を回して周りを見渡してみる。どこだここは?今まで主に連れられて訪れた場所では無い。どうやら自分はベッドの上に寝かされているようだ。
また、周りの風景を見る限り、主達の暮らす『地球』の次元では無い。
おそらく時空管理局8番艦『アースラ』内か、もしくは時空管理局本局かと推測される。
身を起こせるか試してみた。思っていたよりあっさり体は起きた。
床に足をつけ、立ってみる。どこかバランスが取りづらいと思う。が、しばし歩く練習をしてみるとあっと言う間に慣れた。
歩けることによって移動手段を得た私は、状況及び情報収集を開始することとした。
が、部屋を出る前に室内に姿見鏡があるのを見つけた。
自分は元『金色の三角形の宝石』である。自分の容姿はいかなるものか気になった。
そして鏡の前に立つ。鏡の向こう側に、私である彼はいた。
黒く長くも短くもない髪、先端に行く程金色になっている。
額に逆三角形の金色の宝石、金色の瞳。
服は黒いジャケット、黒のジーンズ。
そこには完全に人間となった私がいた。
『闇を貫く雷神の槍、夜を切り裂く閃光の戦斧』たる私----バルディッシュ・アサルトは、しばし鏡の前で固まることとなる。

「……なんの冗談だ、これは…」

そんなわけで、バルディッシュは頭を抱えていた。
突然擬人化していた。
決して他人にはわからないこの感覚。何故なら他人とは生を受けた瞬間から「人間」であり、自分の様に「モノ」として生み出されたにも関わらず、覚醒したら「人間」になっていた「モノ」の気持ちなどわかるわけないのである。
というより、絶対に、確実に、全力全開で前代未聞である。

「……わからん……」

生まれてまだ十にも満たない、バルディッシュ。
創られた時から思考してきた彼は、一言で言うと、かなり人間臭かった。
……擬人化したデバイスに言うことでもないような、合ってるような……
そして、彼は気付く。
彼が身につけているベルトに、とある物体が備え付けられていることに。

「……なんだ?……これは………」

背中側、腰に手を回したバルディッシュは、明らかに衣服のものでは無い硬さと冷たさを持つそれを、ボタンのようなものを外して手に持ち、眼前に持ってきた。
冷たく鈍い光沢、光沢に見合った重量。黒く、重く、冷たいそれを見て、バルディッシュは呆然と呟いた。


「……拳銃……?」

それは彼の記憶が正しければ、拳銃であった。
それも、リボルバー式の。
思わず彼は、銃の安全装置を確かめた。安全装置は、決して銃弾が打ち出されないように為されていた。
そこまで確認してから、バルディッシュは思考の海に飛び込んだ。
私は何故、何の迷いも無く安全装置を確認できた?
当然のことながら、今ままで私は拳銃など持ったことも無ければ、間近で見たことも無く、銃火器に対する知識とてそうある----な。うん、あるのだな、私は。
そこまで黙考してから、バルディッシュは遠くを見るように虚空を眺めた。
忘れもしない、闇の書事件が解決してから幾度目かのメンテナンス。いつもの如く主の手から離れ、整備課のマリーに預かられていたときのこと…

「ねぇ、バルディッシュ」
『何か問題でもあったのか、マリー?』
「あ、いや、別に問題があった訳じゃ無いのよ」
『ならば、一体…』
「えーとさ、バルディッシュ、銃について、興味ない?」
『……は?』
「いやほら、バルディッシュにはカートリッジシステムとして、リボルバー機構を採用してるじゃない」
『ああ、確かにそうだが…』
「でね、ちょっと、銃火器について勉強してみたのよ」
『……はぁ』
「そしたら意外に面白くってね」
『……で?』
「ちょっと、熱く語り合いたいな----ってバルディッシュ、なんでそこで寝ようとしてるの!!スリープモードに入らない!!」
『……いえ、そういわれても私にはそのような知識は……』
「大丈夫大丈夫、その辺の知識は『入れる』から」
『……待ってください、入れるって……マリー、その手に持ったケーブルコード類と、コンピュータに繋がっている端末はなんですかっ。ちょ、まっ、…待てェェェェェェェェッ!?』

…無理矢理、叩き込まれたのだったか……
いや、それにしても、まだ疑問が残る…
この拳銃……

「やけに……手に……馴染む…?」

そう、まるでもとより身体の一部のような…

「……ん?」

はたと気付き、バルディッシュはまたも黙考する。
デバイスモードの自分、現在の自分。

デバイスモード
刃→金
基本色→黒
カートリッジシステム→リボルバー機構

現在の自分
髪→黒から末端に行く程金
服→基本黒
手に持つ拳銃→…


……
………

「まさか…」

どこと無く、イヤな汗が流れる。

「いや…しかし…」

答えは出ているのに身体が全身全霊全力全開で否定したがっている。

「まさか…っ」


「カートリッジシステムの…名残……!?」



髪は黒くて先に行くと金色、服は基本黒で、額にバルディッシュ待機モードの宝石、瞳は金色で瞳孔が黒い。長身。
そして手に持つリボルバー(弾数は6)
こんなバルディッシュはいかがですかw

ちなみにレイハさんは
・桃髪くせっ毛
・身長小さ目(バルと頭二つ三つくらい違う)
・でも力持ち
・カートリッジシステムの名残(爆)は何故か180oキャノン砲風味(核爆)(※ガンダム第08小隊参照)
・額に紅い宝玉、紅い瞳
・服は主に白を基調としたふんわり系(なのはのバリアジャケット風味)

続いてレヴァンティン
・黒くて短く、ツンツン頭
・いたずら好きそうな目と、皮肉げな口元
・かつ、一人称は「我」または「俺」
・右腕に剣の入れ墨
・カートリッジシステムの名残は弓矢(笑)

ちなみにアイゼンがゲートボールに〜〜を書いたのは俺です。あの時は拙作失礼致した。
今度は自己満足のためだけに書いてしまった…他の人のネタで失礼します…







「……移動しよう」

とりあえず現状を確認したバルディッシュはさらに情報を集めることにした。
…決してカートリッジシステムについての現実から逃げるためでは無い。



通路を一人、歩く。
幸いにしてあまり人もおらず、堂々と歩いていた。
部屋からでたバルディッシュは現在位置を確認したが、そこはアースラの整備課区画だった。
アースラが任務遂行中でも軽微の損傷、不調に対応できるようにと儲けられた区画である。

「……むぅ」
歩きながら、バルディッシュはまたも悩んでいた。
…もとより真面目な彼だが、擬人化してから悩みっぱなしである。

----もしこの姿を見られた場合、何と言ったものか。
----正直に話す?
----いや、信じてもらえまい。
----いきなりデバイスが人間の姿になった等----
----いやいやしかし、以前クロノ艦長がロストロギアが原因でちっちゃくなったとき、いとも簡単に順応した彼等(アースラスタッフ)だぞ?
----だが、こんなことは流石に前代未聞過ぎて----

考えれば考える程泥沼である。
ちなみに、『クロノ君ちびっ子化事件(命名エイミィ)』の折り、クロノは「くろの」と呼ばれ、アースラに留まらず、本局、身近な女性からとことん可愛がられたりした。
…あの時のクロノ提督はなんとも悲惨だったと、彼の親友にして某盾の守護獣は後に語ったという。

深く考えていたが故に、バルディッシュは気付かなかった----否、気付けというのが酷である。
たまたま通り掛かった部屋の前、扉が急に開き中から若い男が蹴り出されてくるなど。

そんなこんなで、青年はバルディッシュに直撃した。それはもうこの上なく、清々しいくらいに、素敵な程に。

「ぐぁっ!?」
「へぶっ!?」

縺れ込み、重なり合うようにして倒れた二人。
腹の上に青年を乗せたまま、バルディッシュはなんとか上半身を起こした。

自分の上には黒い----若干赤みがかったツンツン頭の青年。
そして扉が開け放たれた部屋の中には足を掲げたまま目をみひらき、停止している緑の髪の女性と、廊下を覗き込んでいる人の良さそうな、かつ屈強な年老いた男性。

何が何だかわからない----だがとりあえず今言いたいことは一つ----

「…おい、いつまで乗っているつもりだ。可及的速やかにどいてほしいのだが----」

そう問い掛けると、青年が動き出した。

「っつ〜〜!クラール嬢!!いきなり何をするか、何を!!」

クラール?眉をひそめたバルディッシュに構わず、女性は平然と青年に答えた。

「あら?いきなりちょっかいを出して来たのはあなたでは無くて?人の寝込みを襲う等----どうなのかしら、レイヴァン?」

レイヴァン?さらに眉間のシワを深くするバルディッシュ。
----と、始まりそうな口論を制すついでにバルディッシュに声をかけたのは、老人だった。

「…そこまでにしておけ、レヴァンティン、クラールヴィント。彼も困っとるでは無いか」

その言葉で、始めて気付いたようにレヴァンティンと呼ばれた青年はバルディッシュに話し掛けた。

「----っと、ワリィな、あんた--------?」

見を起こし、バルディッシュを見た彼も、バルディッシュのように眉をひそめた。
クラールヴィントと呼ばれた女性もである。

「貴様…」
「あなたは…」
「君達は…」

三人が一斉に口を開くが、それも老人に遮られた。

「ほれ、三人してアホ面下げとらんで、とりあえず中にはいるとよい----バルディッシュも、な」

そういって、老人は穏やかに笑った。





「まずは自己紹介といこうかの----ほれ、レヴァンティン、お主からじゃ」

「む?俺か?俺はもうわかってるだろうが、炎の魔剣、主シグナムの魂、レヴァンティンだ。一応、愛称はレイヴァンで頼む。名残はまぁ、この腕だな」

そういって皮肉気にレヴァンティンは笑った。
ゆったりとした----言葉を変えればだぼっとした服を着ている。そして右腕にはデバイスモードのレヴァンティンに酷似した長剣の入れ墨があった。

「次は私ですね----マスターは湖の騎士シャマル。風のリング、クラールヴィント…といっても名残はこの両腕についた二つずつの腕輪くらいなんですが」

そういって苦笑するクラールヴィント。
彼女の容姿は茶の柔かそうなウェーブがかった緑の長髪、緑と青のオッドアイ、眼鏡をかけ、薄緑のカーディガンに白のロングスカート、腕に各二つ----計四つの金の腕輪をしていた。

「次にわしじゃの。わしは鉄の伯爵、グラーフアイゼン。マスターはヴィータ殿。愛称はアイゼンでよいぞ」

そういうグラーフアイゼンの姿は鍛えられた屈強な肉体、だが暖かな人の良さそうな雰囲気を漂わせていた。白くなりつつある黒髪----言うなればロマンスグレーである。
伯爵というのも頷ける、老紳士だった。

そして----

「…サー、フェイトに仕える闇を貫く雷神の槍、夜を切り裂く閃光の戦斧、バルディッシュ・アサルト----愛称は…好きに呼んでもらいたい」

そう、ぎこちなく挨拶した。




「----さて、挨拶も終わったこったし、情報交換と行こうか」

手を叩きながらレヴァンティンが言った。

「この現状で、どれくらい情報を掴んでいるのだ?」

「そりゃあ…」

「皆無、ですね」

罰が悪そうにクラールヴィントが言う。

「ふむ…」

「皆起動して、人の姿で目を覚ましてからさほど経っておらぬからの」

顎に手を当てて考え込むバルディッシュにグラーフアイゼンが応える。

「この中では一体誰が一番早く目を覚ましたのだ?私はつい半刻程前だったのだが…」

バルディッシュが聞く。それに応えるのはまたもグラーフアイゼン。

「わし、じゃのぅ。目を覚ましたときこの部屋におったよ。そこの二人もまだ寝とったが一緒だった。」

その言葉に、苦笑するレヴァンティンと、レヴァンティンからぷいっと目を背けるクラールヴィント。

「…アイゼン殿、クラールヴィントは一体どうして怒「次にいきましょう、次!!」すか」

怒鳴り気味にクラールヴィントがバルディッシュの言葉をを遮りながら話を進める。

バルディッシュは恐らく当事者であろうレヴァンティンに目を向ける。だが、彼は口を開こうとしない。

『一体どうしたというのだ、彼女は…レヴァンティン?』

念話で問い掛けると、何とも歯切れ悪くレヴァンティンは語り出した。

『あーーーーー、まぁ、なんだ。あいつも女だってこったな』

『要領を得ないな…一体何をやらかした?ざんげなら聞いてやらんでもない』

『あ〜〜まぁ、先ず纏めると、起きた順はアイゼン老、クラール嬢、そして俺だったんだ』

『ふむ…だがそれでどうして?』

『はぁ…バル公、我がライバルよ…察してくれよ…』

『…わけがわからん』

『いいか?アイゼン老は言ったよな。俺と、クラール嬢が【一緒に】寝てたって』

『あぁ……待て、まさか』

『やっと察したか…そう、俺達は添い寝するような形で寝てたんだよ…』

『はぁ』

『そいで起きたクラール嬢は横で寝てる俺を見て大激怒。武闘派ではないのだが、見事な蹴りを俺の腹に見舞ってな。すかさずアイゼン老が扉を開けて、廊下を歩いていた貴様にぶつかった、というわけだ』

『それはまた…災難な…』

『…あぁ、全く…理不尽だ』

『何故クラールヴィントはそれくらいで怒ったのだ?』

『わからん。なにも悪戯などしていないのだが』

と、男の友情の念話は、そこで途切れることとなる。何故なら…

「…バ・ル・ディッ・シュ、レ・イ・ヴァ・ン?」

「「あ…」」

めのまえに、みどりのおにがいた。

「人が真面目に話してるってのに…」

語尾にいく程声が震えている。それだけで、彼女の怒りの深さがわかってしまう。いやがおうにも。

「ま、待てクラール嬢っ」

「真面目に、真面目に聞くからっ」

「問答無用!!二人とも、そこに正座しなさいっ!!!」

「いや、そこって…」

「床じゃ…」

「せ・い・ざ・し・な・さ・い!!!」

「「…はい」」

しゅんとうなだれ、床に正座する野郎二人。

『…レヴァンティンよ…』

『なんだ、バルディッシュ…』

『クロノ提督が以前言っていたのだが…』

『うむ…』

『女性とは、かくも恐ろしいものなのだな…』

『あぁ…今なら、よくわかる…』

「聞いてやがるんですか、二人とも!!!」

「「はい…」」

『もう一つ…』

『ん?』

『もう一つ、クロノ提督が言っていたが…この世には、こんなはずじゃないことばかりなのだな…』

『あぁ…まったくだ…』





そんな中でも

「ふむ…これはなかなか…」

と、アイゼン爺は始めて飲む茶をうまそうに啜っていた。





----続くのか?


とりあえず第二弾〜〜アームドチームとバルディッシュ合流〜〜

ちなみによく喋ってる感じのバルディッシュ…あれ?彼の性格は無口仏頂面の冷静キャラのはずが…なにを間違えた?(汗)

レヴァンティン、愛称レイヴァンはある意味満足。真面目なだくでなくギャグもこなせるテンション高めの陽気キャラ。馬鹿にならないよう気をつけないと(笑

クラールヴィントの性格が掴めない…時折どんなキャラか自分でも掴めない…一応純情お姉さんキャラに…(レイジングハートにおける姉的ポジション)

グラーフアイゼンも満足。こんなお爺さんで。ちびリィンとヴィータに甘いお爺ちゃんです(笑)

ところで書いててなんですがレイジングハートまだー?
かけらも書けてない…
おかしいな、レイジングハートとバルディッシュのほのぼのを書くはずが…(汗)

次回は一応書くとしたらデバイス擬人化の原因と、レイジングハート、なのは達アニメキャラを出したいな〜〜と。


あ、あとお茶どこから出したとかのツッコミはスルーお願いします。






“バルディッシュ擬人化案3”
前回の粗筋。
クラールキック炸裂によりレヴァンティンがバルディッシュにぶつかってさらに内緒話をしてて床に正座させられるもグラーフアイゼンは我関せずとお茶(緑茶)を啜る。
以上。

「おいっ!!手短過ぎんだろうがっ!!」

「レイヴァン、また人の話を聞かないで!!!」

「いえいえすいませんごめんなさい勘弁してください」

やたら腰の低いレヴァンティン。
…クラールヴィントによる暴風、未だ治まらず。



「そこまで。流石に時間の無駄が過ぎるぞ、クラールヴィント、ほれ、ソファに座るがえぇ、バルディッシュ、レヴァンティン」

そのグラーフアイゼンの言葉で、ようやっとクラールヴィントの嵐が治まった。

「「…」」

「む?どうした二人とも、微動だにもせんで」

「い、いえそれが…」

「あ、足が痺れて…っ!」

「…そこまで人間なのね…」

「ふむ…確か直し方があったような…」

「あ、私わかります」

「頼めるかね?話が進まん」

「はい〜〜」

そういって向き直ったクラールヴィントの表情を見て、バルディッシュとレヴァンティンは戦慄した。

笑顔が黒い。なんていうか黒い。もういかにも『何か企んでます』と顔に書いてある。

「く、クラール嬢…?」

ひきつった顔でレヴァンティンが問い掛ける。
その問い掛けに、クラールヴィントは清々しい笑顔と行動で応えた。

つんっ

「--------っ!!!」

レヴァンティンが声にならない叫びを上げる。なんていうか、悲惨である。

バルディッシュなど、自由の効かない足を使わずに、手だけで壁際まで移動してしまった。

そして、拷問は続く。

「あら〜〜?まだ直らないのかしら〜〜」

「がっ!クラール嬢、貴様、わかってて、わかっててやって----ぐぁっ」

言い切る前にまた足を突く。レヴァンティンは悶絶するが、動けない。




クラールヴィントのレヴァンティンのお仕置きタイム(?)は十分ほど続いた。




「さて、次は原因について、ね」

「……」

「ほらほら、拗ねないの」

先程の拷問から解き放たれてから、レヴァンティンはふさぎ込んでしまっている。クラールヴィントの言葉で立ち直りつつあるようだ。

「ふむ…しかし原因、のう…」

「ここにいる全員が持つ共通の原因----」

「やっぱ、昨日の任務じゃねーの?」

「そうなりますよね…」

昨日の任務、それはアースラに久々にアースラチームと呼ばれる魔導士が集められたものだった。

強大な魔力反応を感知し、さらに何が原因かその次元に影の魔物が大量発生したのだ。

戦技教導官高町なのは、執務官フェイト・T・ハラオウン、使い魔アルフ、特別捜査官八神はやて、ヴォルケンリッター、果てはアースラ艦長にして提督であるクロノ・ハラオウンと、無限書庫司書ユーノ・スクライア、アースラチームと縁があるS級戦闘魔導士コウ・バークフリートまで投入された戦闘で影の魔物を撃退したあと、そこにあったのは二つのロストロギアだった。

一つは影の魔物を生成していたと思われるS級ロストロギア、もう一つは詳細不明の魔力量Aランクのロストロギア。

S級ロストロギアは戦闘中にコウ・バークフリートが無理矢理攻撃して停止していたため封印は容易だったが、もう一つのAランクロストロギアが問題であった。

クロノ・ハラオウン提督が野放しにしておくわけにはいかないと、封印しようとしたのだが…

「最後に何か強力な光を発したよな、あれ…」

レヴァンティンが呟く。彼の記憶が正しければ、その謎の光を浴びたのは、なのは、フェイト、アルフ、クロノ、シグナム、シャマル、ヴィータ、ザフィーラとユーノである。

そして、そこから導き出される結論は----

「ロストロギアによって、私たちが人間になった----?」

クラールヴィントが呟く。だが、この場にいる全員が、否定ができない。何故なら彼等は主とともにその怪光を浴びたのだから----

「怪光を浴びたものは即座に検査に入ったはずじゃ----ロストロギアは何を引き起こすか皆目見当がつかんからの----ひとであれ、モノであれ」

グラーフアイゼンが重々しく言う。
そう、それがロストロギアがロストロギアたる由縁にして、最も恐ろしいこと。

その怪光が、何をもたらすか等わからない。人の姿になったこととて副作用的なもので、本質的には全く別の意図があっての効果かもしれない。粉々に壊れてしまうかもしれない、暴走してしまうかもしれない、全く別のモノになってしまうかもしれない。それらのなんとおそろしいことか。

だが----

皆の顔色が優れない。何の問題もないと思っていた擬人化の裏に潜む無限の危険な可能性を知ってしまったからだ。
だが、バルディッシュは言葉を紡ぐ。

「それでも、我々は今、動いている。それだけが今我々に与えられた真実だ。確かに、何か危険なこともあるやもしれん。だが、それに至ってから、対処もできるだろうし、してくれる。我々には、頼もしい上官が----主がいるのだから」

「----そう、ですね」

クラールヴィントがやわらかく頬を緩めた。



「----ん?」

「どうした、レヴァンティン?」

「いやよ〜〜、あの怪光が俺達の人間になったことの原因だとすっとよ」

「恐らくそうだろう」

「レイジングハートの嬢ちゃんや、シュベルトクロイツ、S2Uやデュランダルはどうなったんだ?」

「そういえばそうね」

クラールヴィントが今気づいたと頬に手をあて考える。グラーフアイゼンがバルディッシュに聞いた。

「バルディッシュ、お主は誰かと一緒だったり、会ったりしなかったのかの」

「----いえ、そういったことは」

バルディッシュが少し考えてから首を振る。
もとより人の来ることが少ない整備課(彼の主や魔導士は度々訪れるが)だ、人を見掛けたりはしなかった。

「ふむ----どうしたもんかの」

グラーフアイゼンが考え込んでいると、四人に一斉に念話が繋がった。

『バルディッシュ?』
「サー・フェイト?」

『レヴァンティン』
「主シグナム」

『クラールヴィント、聞こえる?』
『マスター・シャマル』

『おーい、グラーフアイゼン?』
「ヴィータ殿」

それぞれ主からだった。

何事かと互いに目を合わせるが

『ごめん、バルディッシュ、今から転移魔法を使って呼び出すから』
「----は?」

バルディッシュが間抜けな声を上げると同時に、彼は金色の----彼の上官の魔力光に包まれた----





アースラのブリッジにはそうそうたる面子が揃っていた。
いずれも次空管理局屈指の魔導士である。

そんなそうそうたる面子の一人、フェイト・T・ハラオウンの前にはミッド式魔法陣が出現し、今まさに目的のモノを呼び出そうとしていた。

そして----

「っ」

一際まばゆく光が溢れたかと思うと、そこには----

「へ?」

我ながら間抜けな声を上げる。だって考えてもらいたい。
転移魔法を使って呼び出したはずなのに、そこに呼び出されたのは目的の鋼の相棒などではなく----

「……………」

どこか無愛想な印象を受ける、黒いけど金の髪をした長身の、金色の瞳をした男性だったのだから。

「な」
「え」

思わず周りを見てみると、シグナムとシャマルは目の前に現れた----否、おっこちてきた二人の男女----黒髪の男性が緑の髪の女性を庇うように抱きしめて下になっている----を見て呆然としていて

「お、オメー誰だよ!!!」

ヴィータは目の前に現れ、かつ座布団に座り湯飲みで茶を啜っているお爺さんに噛み付いていっている。

「えっと……」

「何が、どうなっているんだ?これは………」

頼りになる義兄が言葉を続けてくれた。

そして、眼前の青年が、何かを諦めたような表情で口を開いた。

「……闇を貫く雷神の槍、夜を切り裂く閃光の戦斧………」

「え?」

なんで、それを知っているの、と尋ねるより早く、青年がが続けた。

「…バルディッシュ・アサルト、サー・フェイトの召喚に応じ、参りました」

その言葉は、場を凍りつくさせるには充分な威力を持っていた----

続くんです。

あとがき
ども。遅れちゃいましたが第三弾、擬人化デバイス、マスター達と合流です。
だから、レイジングハートさんまだ〜〜と聞いてみる。自分に。

早く原因の説明とか終わらせないと、小劇が書けない……orz
スフィアはこういったことはきちんとしないとダメな人です。ごめんなさい。

さらにごめんなさい。オリジナルキャラ投入です。

しかもS級魔導士って……orz

まぁ、一応キャラの立ち位置は

『誰にでも軽く相談に乗る、便利兄貴キャラ』みたいな。因みに妻子(息子と娘)がいる二十四歳です。
実は蒼天の書開発に携わってたりする、A's本編終了一年後にアースラチームと知り合ってます。

さて、オリジナルキャラの説明は程々に。
バルディッシュのフェイトに対する敬称は「サー・フェイト」です。
やはりデバイスモードの「Yes,sir」は外せないので(苦笑)
因みに劇中を見てわかるとおり、レヴァンティンは「主シグナム」、クラールヴィントは「マスターシャマル」、グラーフアイゼンが「ヴィータ殿」。実はマスターシャマルと言うのを書くときに笑いました(笑)

次回、ようやくレイジングハート登場?そして新たな青年と女性、チミっ娘も登場?わけわからん!!!

おまけ劇中ワンシーン。

バルディッシュが金の光に飲まれたかと思うと、俺もまた薄紫の光に包まれた----

が。

「「え?」」

何故か転移先はアースラブリッジの----空中。

「ちょっと待てよなっ!!!」

近くに同じように空中に転移させられたクラールヴィントを引き寄せ、そして庇うように抱きしめて----

「がっ」

腰を床に叩きつけた。それはもうしこたま。

そしてやたら低い目線をうえに向ければ、驚愕の顔で固まる我が主と湖の騎士----

「き、貴様、何者だ!」
「……あー、主シグナム、今はただ一言だけ言わせてくれ」

尋問を遮って、ただ言ってやった。

「……へたくそ」


烈火の如く怒る烈火の将が降臨した。

以上〜〜






第4弾どうぞ〜〜


無音。
まさしく現アースラブリッジを表す一言である。

アースラチームとも呼ばれる時空管理局トップクラスの魔導士が集まっている中、彼等の目の前で居心地の悪そうに、かつ落ち着いている黒いが金の髪の青年、緑の髪、眼鏡をかけた女性、落ち着き払って茶を啜る老人、頭からちょっと煙を出しているちょっと焦げている青年----

「えぇいっ!またこんなんかっ!!」

「レヴァンティン、何を言っているのだ?」

どうやら、レヴァンティンにはナレーションや地の文を読む能力があるらしい。……なんとも厄介な能力である。
因みに、彼が焦げている理由は思わず口にした主に対する暴言により、主が激昂し、簡単な炎魔法(生身の人間でも火傷で済む程度、花火くらい)を食らったためである。



「あ〜〜、さて……確認するが、君達はそれぞれバルディッシュ、クラールヴィント、グラーフアイゼン、レヴァンティン……ということでいいのかな?」

再起動した年若き苦労人にして時空管理局提督、クロノ・ハラオウンが尋ねた。

「そうなりますな」

まだ噛み付いてきているヴィータを軽くいなしながら、年配の男性が代表して答えた。

「それぞれの名を、教えてくれるか?」

クロノは未だ立ち直れていない他の魔導士の面々の代わりに質問した。

「わしは鉄の伯爵、グラーフアイゼン。主はヴィータ殿」

「私は風のリング、クラールヴィント。持ち主はシャマル様です」

「炎の魔剣、レヴァンティン。持ち主はへっぽ……失礼しました。主シグナムだ」

「先程も述べたように、バルディッシュ・アサルト。持ち主はサー・フェイトです」

ようやく再起動を果たしたそれぞれの持ち主が信じられないと口を開く。

「な、なんでアイゼンが爺さんになってんだよ……」
「ほっほっほ。まぁ、諦めてくだされ」

「わ、我が魔剣がこのような……アホっぽそうな男だと……」
「……おいこら主、言うにこと変えて何言ってやがりますか?」

「……ほっ」
「マスター・シャマル、なんですかっ、その安堵のため息はっ!なんで胸を凝視してるんですかっ!!」

「えっと、バルディッシュ……なんだよね」
「はい、サー・フェイト」
「えっと……よろしくね」
「こちらこそ」

……若干一名、何か違うような気もするが。



「……では、君達は間違いなく元デバイスなんだな」

「はい」

「フェイト、ラインは繋がっているか?」

「うん、間違いなく魔力供給ラインが繋がってる……この人はバルディッシュだよ」

「そうか……」

クロノは疲れたようにため息をついた。

「……原因は、わかるか?」

「予測程度なら」

「聞かせてもらえるかい?」

「はい。恐らくは昨日の任務の----」

「お、いたいた」

バルディッシュが推測を説明しようとしたところ、ブリッジのドアーが開き、通路から三人の男女が入ってきた。

淡い水色の髪をした、どこか目付きの悪い青年と、栗色の髪を短く切った猫のような少女、黒い髪を後ろで束ねた女性だった。

「君達は----?」

ユーノが尋ねるも、それに答えず三人は中に入って行き----

「始めまして、かな?ボス」

「こんにちわ、マスター」
「は?」

水色の髪の青年と黒髪の女性はクロノの前で挨拶をして

「わ〜〜!マスターだぁっ!!」
「な、なんや〜〜!!」

栗色の髪の少女は特別捜査官八神はやてに抱きついていた。

「あ〜〜なんか予想できるんだが……君達は?」

「あー、やっぱわかんねぇよな…」
「そうですよね……はぁ、長年の相棒なんだけど……」

「氷結の杖、デュランダル」
「S2Uですよ、マスター」

またはやての方では

「えっと、お嬢ちゃん、名前は何て言うん?」

「あは、ストレージデバイス、シュベルトクロイツですよ♪」

また、空気が、凍った………………



「……待て……インテリジェント、アームドは最近やたら人間臭くなって来たと思ったからまだいい。だけどストレージデバイスまで……」

「ボス、元とはいえ法を司る者が差別発言はあまりよろしくないと思うが?」

肩をすくめながらデュランダルが諭し

「そうですよ〜〜」
「差別はんた〜〜い」

S2Uとシュベルトクロイツが便乗し、シュベルトクロイツは調子に乗っている。

「……あはは、もう訳がわからないね、クロノ君」
「笑い事とちゃいますよエイミィさん……」
「これは夢なんだな。そうか、僕はこんなにも、疲れて……」
「ク、クロノしっかりして」
「………」
「どうしたんだい、ユーノ」
「アルフさん……僕ってかなり影が薄くなってきてるのに、出番とかあるのかごほっごほっ」
「スクライア、気持ちはわかるがそれ以上言うな。抑止力がかかるぞ」
「ザフィーラもなんか切実なのです……」
「なんとも、おかしなことになっているな……」
「そうね……あぁ、ヴィータちゃん、いい加減沈まないで」
「アイゼンが、アイゼンが、アイゼンが………」

さて、ちょっとうちひしがれてるアースラチームも、この人のことに気付きました。
先程から一言も発していない少女----戦技教導官高町なのはは、眉間に人指し指を当て、先程から難しい顔をしてばかりいた。

「なのは、どうしたの?」

フェイトが問い掛けると、唸りながら答えた。

「う〜〜ん、さっきからレイジングハートに念話を繋げようとしてるんだけど、捕まらないの……」

「え?ちょっと待ってね………あれ?」

困り顔のなのはの言葉にエイミィが艦内をサーチするが、何の反応もなかった。

「おっかしいなぁ……レイジングハートの反応がない………?」

その言葉に、バルディッシュ達は背筋が寒くなった。

「まさか………」
「落ち着けクラール嬢、まだ見つかってないだけだ」
「でも!!」
「これはいくらか厄介なことになったのぅ……」
「なになに?どーしたの?」
「あらあら?」
「おい、バル公……でいいんだよな?」

よくわかってないストレージ三人組を代表して、デュランダルがバルディッシュに話し掛けた。

「一体どうしたってんだ?顔色かえちまって」
「それは………」

言っていいものかどうか考えていると

「あの、バルディッシュ……さん!!」

なのはもまた、バルディッシュに声をかけた。

「あの、何か知ってるんなら教えてください!」

バルディッシュが周りを見渡すと、この場の全員が彼を見ていた。

バルディッシュは目を閉じて、覚悟を決めると現状での推測、起き得る可能性を全て、皆に伝えた。



「そんな………」

なのはの顔色は優れない。それもそうだろう。相棒がもうすでにいなくなっているかも知れないのだから。

「わたし、探してくるっ!!!」
「なのはっ!!」

言うや否や、なのははブリッジを飛び出していってしまった。ユーノも追い掛けるようにそれに続いた。

「こりゃあやばいねぇ……フェイト、あたしも探しに行くね……ザフィーラ!」
「わかった……主、レイジングハートを探してまいります」
「うん、頼むな。わたしらも探しに行くから、見つけたら教えたってな」

アルフとザフィーラが子犬フォームになって連れだってブリッジから去っていった。恐らく嗅覚で探すつもりなのだろう。

「主はやて」
「シグナム、ヴィータ、シャマル」
「おう」
「はい」
「レイジングハート探すの、手伝ってな」
「御意」
「任せとけ!」
「わかりました。はやてちゃん」
「ほないこか」

はやてとヴォルケンリッターもレイジングハート探索にでた。

「クロノ」
「すまないが、君も探しに行ってやってくれ。僕も行く」
「うんっ」
「君達デバイスは万が一のためにここにいてくれ。エイミィ、何かあったらすぐに全員に知らせてくれ」
「りょーかい、必ず見つけ出してね」
「……勿論だ」

クロノ、フェイトもまた友の一大事とあって飛び出して行った。

「……あぅ〜〜」
「おりょ?リィンちゃんどうしてここに?」
「マイスターに置いてかれちゃったのです……」
「あぁ、泣かないで、ほら、クッキーでも食べな」
「うぅ……」

置いてきぼりを喰らったリィンフォースUがいたりしたが。

「…留守番かよ」
「仕方あるまいよ」
「時限爆弾持ち……かもしれませんからね」
「できればそうでないことを祈りたいですね……」
「つまんない〜〜、デュラン〜〜遊んで〜〜」
「あ、おいこらシュベルツよじ登るな、っておい」

留守番を喰らったデバイス………

彼等は気付けなかった。

フェイトとクロノが飛び出して行ったあと、静かに、だが疾風の如くブリッジを飛び出して行った黒い影がいたのを…………

あとがき
…………レイジングハート…………orz

というわけで、ストレージデバイス軍団が出て来たけど、またレイジングハートが出てきませんでしたっ
ついでに言うとオリキャラも出てきませんでしたっ!!
いやまぁ、オリキャラは説明キャラとしてしか今はキャストがないんですが。

以下、ストレージデバイスの性格+容姿〜〜

デュランダル
・皮肉屋で冷静
・毒舌(口が悪い?)
・不真面目なようで生真面目
・実は苦労屋
・何故かちびリィンとシュベルトクロイツの教育係
・見た目は薄水色の髪のボサボサ頭。
・細身
・デバイスとしての名残は何故かスナイパーライフル

S2U
・母性溢れる優しい性格
・でも怒らせると笑顔で鬼神になる
・デバイス達の母的存在
・リンディに近い趣味嗜好を持つ。
・つまるとこリンディ茶の数少ない理解者
・黒く長い髪を後ろ(下の方、首辺り)で束ねて肩から胸元らへんに降ろしてる。
・シュベルトクロイツとちびリィンの教育係
・デバイスの名残は何故かマシンガンという、危険なほのぼのお母さん。

シュベルトクロイツ
・愛称シュベルかシュベルツ。
・活発猫目、茶髪のショート
・悪戯好きでレヴァンティンを師匠と仰ぐ
・外見年齢十二〜三歳
・いつもいたずらをしてはデュランダルやS2Uにこらしめられてる。
・自分的にはちびリィンの姉を自負。

あ、因みに外見年齢は
バルディッシュ、19歳
レヴァンティン、19歳
クラールヴィント、18歳
グラーフアイゼン、60過ぎ
レイジングハート、14〜15歳
デュランダル、18〜20歳
S2U、20〜23歳
シュベルトクロイツ、12〜13歳

てな感じです。
ではでは。

おまけ

デュランダルたちも目を覚ましてから話し合って、ブリッジに行くことにした。


「え〜〜と、デュランダル……」
「どうした、S2U」
「わわっ、ダメだよソングさん、言っちゃだめ〜〜!!」
「うるさいぞ、シュベルツ。で、どうした」
「いえね〜〜顔は洗って行った方がいいわよ」
「は?」

鏡を見たデュランダル。そこには顔に縦横無尽に「ゴルァ(゜Д゜)」やら「イイ!!(・∀・)」やら「プギャーm9(^Д^)」やらを書き込まれた目付きの悪い青年の顔が……

「きゃーーーーー!!!」
「待たんかシュベルツーーーーーっ!!!止まらんと……撃つ!!!」
「嘘だっ止まっても絶対撃つよっ!!!」
チュンッ
「本当に撃ったーーーーーっ!?」
「安心しろ!!!当たって安全ゴム凍結弾だっ!!!」
「ちょ、安全じゃない、安全じゃないよーーーーーっ!!!」
「エターナル…コフィン!!!」
「マチガッテルよ、デュラン〜〜!!!」

ちゃんちゃん






“第5弾”

黒の服を身に纏った青年が、アースラ艦内を疾走する。
ひょんなことから思考するモノからヒトとなった青年が、疾走する。

何故、彼は走っているのか彼でもわからない。
何故、こんなにも焦っているのか彼にはわからない。
何故、こんなにも不安なのか彼はわからない。

何故----こんなにも、彼女は無事であると確信しているのか、彼ではわからない。

自分は何をしているのか、彼は考える。
クロノ提督は自分達にブリッジにいるように言った。にも関わらず、どうして私は走っているのか。
どうして、いても立ってもいられなくなったのか。
答えは極近くにあるような、気が遠くなるほど遠くにあるような錯覚を覚える。

考えれば考えるほど、自分で自分がわからなくなっていく。

通路の曲がり角で、彼は隠れるようにしながら通路の先を伺う。
誰もいないことを確認すると、また走り出した。

わからない、ワカラナイ、解らない。
自分の行動の意味も、理由もわからずに、しかし答えを模索しながら、彼は----バルディッシュは疾走する。

整備課、居住区、機関室、思いつく限り、入れる場所を人目につかぬように巡る。

それでも、探している彼女はどこにもいない。

最悪の場合が頭を過ぎるが、それでもきっと無事だと信じている自分がいる。

……おかしなものだ、と心の内で苦く笑う。

一体、なんでこんなに、不安なのに確信を持てるのか。
疑問を抱えたまま、彼は走る。






また、空振り。
思いつく限りをもう二周りもしたのに、影も形もない。
多少肩を落とすも、また走り出す。
静かに早く、気付かれぬように。

先程から、バルディッシュはありとあらゆる魔力の繋がり、流れを止めていた。

バレたらきっと大変なことになろうと、試してみたら思った以上に体からの魔力放出を抑えられた。これならばアースラのサーチシステムにも引っ掛かるまい。

そこまでして、彼はさらに深く彼女----レイジングハートの無事を確信した。
きっと彼女も、同じようなことをしているのだろうと。

いくばくか走って、バルディッシュはふと足を止めた。
そして、少しの間目を閉じて黙考し----やわらかく、微笑んだ。

「………なんだ。私は彼女を思っていた以上に信頼していたのか」

自覚もないほど深くで、戦友と、友人として信頼していた。
今更気付いた事実に、やれやれと苦笑する。
そう考えれば、何故不安で安心しているのか、どうして焦っていたのか、すんなりと納得できる。

「私は……友を失いたくないのだな----」

そう結論づけて、バルディッシュはまた走り出そうとして----一つの扉に釘づけになった。

それは、各種事件の資料や、次空犯罪における証拠や押収物を保管するための----といっても、最近は邪魔になってしまった私物を一時保管するためにも使われている、倉庫部屋の扉だった。

「…………………?」

バルディッシュは、引き寄せられるようにその扉に近づいて行き、確信した。

レイジングハートは、ここにいる、と。

幸いにしてロックはかかっておらず、すんなりと入ることができた。

中は暗く、入口から差し込まれる光でなんとか薄暗い部屋の中を伺える程度。

バルディッシュがコンソールを操作して扉を閉めると、何かが動く気配がした。

「…………」

誰もいないはずの倉庫の中、一寸先も見えない闇の中で、バルディッシュは独り言のように闇へ向かって語りかけた。

「誰も、おるまいな」

返答は沈黙。
苦笑しながら、唄うように言葉を紡ぐ。

「もし誰かいるとしたら、早くここから出た方がいい。暗い闇の中で膝を抱えていても、不安を煽るだけだ」

闇は何も返さない。
それでも、バルディッシュは穏やかに、自分でも気付かずに微笑んでいた。

「……………誰かは知りませんが、放っておいて、下さい。気が、済んだ、ら、ック、出て行き、ますから……………」

鳴咽をしながら、か細く、綺麗だが幼さを感じる声がした。

「ふむ。誰かいたのか……あながち私の勘も捨てたものではないな………あぁ、気にするな。私は今日からこの艦に配属になった者でな、せっかくだから何か資料を拝見しようと思ってな」

「………そう、ですか」

そして、沈黙。どちらも言葉を発しないし、動こうともしない。

「ふむ……なぁ、君。何か悩み事かね?名も知らぬ相手にするのもどうかと思うだろうが、相談に乗るぞ?」
「いりません」
「では何故泣いているのか、教えてはくれまいか?」
「…いやですっ!!」
「言ってみるのも手なのだが……存外、気が楽になるぞ?言うのはタダというサー……知り合いの世界の格言もあるし、な」

その言葉に、闇の中で何かが反応した。

「あなたは………マス…戦技教導官、高町なのはさんと、知り合いですか?」
「戦技教導官高町なのは……あぁ、若くして管理局の白い悪魔とも恐れられる彼女か…そういえば、彼女の世界の格言だったな……だが、私の知り合いはクロノ・ハラオウンといってね。この艦の艦長も兼任している提督さ」
「クロノ提督の……」
「さて、喋る気にはなったかな?」
「……いいえ。どうせ、言ったとしてもあなたにはわかりません」

再びの拒絶の言葉。
バルディッシュは肩を軽くすくめる。

「何故そう言い切れる?言ってみないと、わからないだろう?」
「わかる訳が無いっ!!!」

そういって、何かが立ち上がる気配がした。だが、闇の中ではその姿は伺い知ることは出来ない。
バルディッシュは、その何かがいる方向に背を向け、コンソールに手を伸ばした。

「あなたにわかる訳が無い!ヒトとして生まれ、ヒトとして生きて来て、ヒトとして死んでいくあなたなんかに、訳もワカラナイままに巻き込まれたわたしのことなんて、わかる訳が無いっ!!!!」
「わかるさ」

少女の絶叫、慟哭を背に受けながら、バルディッシュは室内の明かりをつけた。
そして、ゆっくり振り返る。

そこには、紅が強いピンクのくせっ気がある髪、髪と同じような色合いをした瞳を持つ、まだあどけなさが残る顔に涙の跡をはっきりと残した少女が、その顔に驚愕の色を浮かべていた。

「…ぅして……」

----バルディッシュは、一瞬、その容姿に目を奪われた。
故に、反応が少し遅れた。

「え?」
「どうして、わかるだなんて、言えるんですか?どうして……どうして、そんな無責任なこと、言えるんですか!!!」

今にも泣き出しそうな顔で、少女は糾弾する。
だが、バルディッシュは落ち着いて対応する。

「どうして、か」
「なんで、なんでわかるなんて----」
「簡単なことだ。この身がヒトならざればこそ、ヒトならぬ故に、わかると言える」

彼女は言った。
ヒトとして生まれ、ヒトとして生きて、ヒトとして死んでいく者にわかる訳が無いと。
ならば、ヒトでなければ、わからなくはないはずだ。

「でも、あなたは人間----」
「の姿はしておろうな」
「…………」

言葉を奪われた少女は、呆けたように彼を見つめた。

「闇を貫く雷神の槍----」
「…………え?」
「夜を切り裂く閃光の戦斧----」
「……………」
「その銘を冠するこの身なればこそ、君の悩むことも、恐れることもわかる----そうは思わないかね?くじけぬ心よ----」
「バル……ディッシュ………?」

そして彼女----レイジングハートは、呆然と呟いた。



バルディッシュは何も言わずに、静かに彼女の傍らに立つと、何も言わずに床に腰を降ろした。

「座ったらどうだ?まぁ、床の上というのもなんだが、以前ならばさほど気になったことでは無いだろう」
「…………ぁ」
「それに----先程まで、膝を抱えて座っていたのでは無いか?」
「…………はい」

そういって、すぐ隣にレイジングハートも腰を降ろした。

「さて、話を聞こうか?何に悩んでいたのだ?」
「………」
「………やれやれ、黙られてしまうと、何もわからないのだが」

レイジングハートは、膝を抱えてうつむいてしまった。

「………怖い」
「っ」
「何もワカラナイということが、怖い」
「………」
「違うかね?」

レイジングハートは、黙って首をふって違わないと意志表示をする。

「あなたは……」
「ん?」
「バルディッシュは、怖くないんですか?いきなりヒトになってしまって、何が起こるかわからないこの状況が」
「……怖くないと言ったら嘘になるが、恐くはない」
「どういういみですか?」
「ふむ……言うなれば、何かが起こるかも知れないが、それでも、恐れていない」
「よく、わかりません…………」

純粋無垢な瞳が向けられ、その瞳に吸い込まれそうになる。
だが、バルディッシュはなんのことも無いように答えた。

「私にも、そして君にも、心強い持ち主が、そして仲間がいる」
「………はい」
「信じているのだ、私は。サー・フェイトを。高町なのはを。クロノ提督を。ユーノ・スクライアを。八神はやてを。ヴォルケンリッターを。そして----君を」

先程とは逆にこちらから覗き込むように、真摯に見つめる。
レイジングハートは、顔を若干赤くして、さらに聞いた。

「信じていると言っても……何を期待して、信じているのですか?」
「何が起ころうとも、必ずなんとかしてくれる。とな」
「……それって他力本願と言いませんか?」
「他力本願で結構。だが、もし誰か、仲間に何か起こったら、私は全力で対処する。……仲間を助けるためにな」

君もそうではないか?言外に問う。

「………バルディッシュは、強いんですね」
「どうかな?見掛けだけかも知れんぞ?」
「そんなこと、ありません!!!」

軽い冗談のつもりが、力を込めて否定された。

「いきなりどうした?」
「あ、いえ、その……バルディッシュは、心も、その在り方もとても、強いです」
「どうして、そう言える?」
「付き合い、長いですから……」
「そうか……もう、六年、か」
「はい……懐かしいですね……」
「長いようで、短くて。様々なことが、あったな」
「そう、ですね」
「……ふむ。どうかね、今回のことも、長い目で見たときに、様々あった騒動の一つとするのは」
「………あは、良いかもしれませんね」

ようやく笑ったレイジングハート、その笑顔に、またもバルディッシュは見惚れてしまう。
だが………何か、引っ掛かりを感じた。


「さて………」
「?」

バルディッシュは立ち上がると、レイジングハートに手を差し伸べた。

「いつまでも、膝を抱えていたのでは不安を煽るだけだ」
「あ、はい」

レイジングハートは彼の手を借りて立ち上がる。……が、手は離さない。

「………どうした?」
「温かい……」
「?」
「バルディッシュの手、温かい、ですよね」
「……君の手も充分温かいが……?」

そこまで言って、バルディッシュは気付いた。
自分の手を握る彼女の手が、小さく震えているのを。

「………レイジングハート………」
「ねぇ。バルディッシュ………」
「…………何かね?」

バルディッシュは、空いている手で、静かに彼女の頭を撫でる。
レイジングハートの顔は、今にも泣き出しそうなのに----笑っていた。

「いなくなったり、しませんよね?」
「………ああ」
「この温かさは、嘘じゃありませんよね?」
「………ああ」
「そうですよね。夢じゃありませんよね………あはは、わたし、なんで、泣いて………っ!!」

そして、気付く。目の前の少女が、無理をしていると。
故に、不器用だから。彼は、そっとレイジングハートを抱きしめた。

「…………ぁ」
「……私は、ここにいる。君も、ここにいる」
「……はい」
「……だが、だからこそ、無理をしてほしくない」
「む、無理なんか……」
「………無理をして、我慢して欲しくない。泣きたいときに、泣けば良い。笑いたいとき、笑えば良い」

そして、体は自然と動いた。
前髪に隠された額の金の宝石と、紅い宝玉をこつんと触れ合わせる。

「………私はここにいるから。今は、泣くといい」
「………」
「怖かったろうに。さみしかったろうに………」
「………ック、ヒック………」
「………………」
「うぁ………っ!!!」
「…………………」
「怖かった!!!寂しかった!!!」
「ああ…………」
「誰もいなくて、不安でっ!!!」
「ああ…………」



二人は抱きしめ合って。
レイジングハートは、ひたすら、泣いた----



あとがき
いやはや、難産だった………
なんか書けば書くほど長くなってるね、自分……………
コンさん、長くてごめん………………orz


まぁ、今回は真面目にレイジングハートさんがやっと登場。
バルディッシュとなんか良い感じです。
満足です。

因みに、実は第5弾はとある曲をイメージして書いてるんですね。
なのは見てるんなら間違いなく聞いたことあるはずですよ♪

ま、わかりづらそうですが(ぇ)

わかった方は『全然わかんねーよ』と思いながら掲示板に書き込んでみてください。正解だったら小話のカップリング指名権を進呈します。
コンさんも是非(笑


おまけ

〜その頃のブリッジ〜

「………あら?」
「どうしたS2U」
「デュランダル………それが、バルディッシュ君がいない気がして………」
「あぁ?バル公がいないって………」

視線の先には
レヴァンティンと何やら楽しそうに目を輝かせながら話しているシュベルトクロイツ。
リィンUの相手をしているクラールヴィント。
リィンUとクラールヴィントの様子を微笑ましく見ながらエイミィと雑談するグラーフアイゼン。
何やらチェスをしているランディとアレックス。

「…………」
「………ね?」
「こいつぁやべぇだろ!!エイミィ!!!」

そう、デュランダルが吠えた瞬間----

「師匠直伝!スカートめくり〜〜〜〜〜♪」
「え?きゃっ!!」

シュベルトクロイツが、盛大にクラールヴィントのスカートをめくった。

恐るべき反応速度で目を背ける少し顔の赤いデュランダル。
あらあらまあまあと頬に手を当てているS2U。
心底面白そうに見ているレヴァンティン。
めくって感嘆の息をもらすシュベルトクロイツ。
小首を傾げるリィンU。
我関せずとチェスの板面を見るグラーフアイゼン。
何事も無かったかのように鋭い一手を放つランディ。
唸りながら次なる一手を考えるアレックス。
驚きのあまり固まるエイミィ。
タイミング悪く扉を開けてしまったクロノ。
そのクロノの右目を手で覆い赤面するフェイト。
同じくクロノの左目を覆い赤面するはやて。
固まるシャマル、シグナム、ヴィータ。

世界が、凍った。

そして、レヴァンティンが世界を動かす。

「………緑か………ナイスだぜ!!」

そして、サムズアップ。



「こん…っの煩悩刀ァッ!!!変態!!!バカァっ!!!」

赤くなったクラールヴィントの蹴りが炸裂し、

「不埒者ぉッ!!!」

宙に浮いたところをシグナムがどこからか取り出した竹刀で追撃し、

「うふふ………死になさい。」

シャマルがこれまたどこからか取り出したフライパンで叩き落とし、

「女の敵ィッ!!!」

ヴィータのピコピコゴルディオンハンマーが叩き潰した。

「漢ならば………これも本望…………ガフッ」

こんな辞世の句があったとかなかったとか。




「うわぁ………師匠、悲惨だよぉ………」

シュベルトクロイツの頭が、がっと掴まれる。
そして聞こえる締め上げる音………

「み〜〜〜〜〜っ!?痛い痛い痛いよ〜〜〜〜〜っ!!」

「こんの馬鹿猫娘、何やってやがるっ!!!」
「ギリギリ鳴ってる、ギリギリ鳴ってるからぁ、離してデュラン〜〜!!」
「まあまあデュランダル、離してあげてちょうだい。かわいそうですよ」
「しかしS2U………」
「……………(ニコニコ)」
「………………」
「……………(ニコニコ)」
「はぁ………わかった」

「あぅ〜〜助かったよ〜〜ソングさん〜〜」
「あらあら、では、そこに座りなさい?」
「え?だってそこって床………」
「座りなさい?(ニコニコ)」
「せ、正座………?」
「……………(ニコニコ)」


「座りなさいと言っているのが聞こえませんか?」



絶対零度の声に、皆が思わずあとずさった。

…………レヴァンティンとシュベルトクロイツはそれはもう、こってり絞られた………笑顔で。


この一件から、S2Uはデバイスたちの母のポジションを確固たるものにしていく。


〜探索中のなのはとユーノ〜

「なのは……」
「どこなの…………レイジングハート………?」
「なのは、落ち着いて」
「だって、レイジングハートが…………!!!」
「大丈夫、きっと、見つかるから………」
「あ………」

ユーノはそっとなのはを抱きしめた。

こんな時でもラブラブあまあまな二人だった。

〜そのあとの二人〜

「…………泣きやんだか?」
「………はい」
「なら、ブリッジへ行こう。君の持ち主が心配しているはずだ」
「…………はい…………あ」
「む?」
「むぅ〜〜〜〜〜(ムスー)」
「どうした、レイジングハート?」
「バルディッシュ、さっき嘘をつきました」
「な、なに?」
「新しく配属された局員だなんて…………」
「あ、あれはだな………」
「問答無用です。嘘は嘘ですっ」
「む、むぅ……許しては…………」
「だめです、許しませんっ」
「では、どうすれば…………」
「もう少し……」
「?」
「もう少し………このままで…………」
「……………………」

まだあまあまな二人でした。



「もう、いいかね?」
「……………だめですっ」
「ま、まだか…………」
「…………もっとぎゅって、してください」
「………………」
ぎゅっ
「………………あ…………」
「〜〜〜〜〜っ(赤面してそっぽ向く)」
「………………えへへ…………………(同じく真っ赤)」




………………うへぇ。

であであ。





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