ユーノ×アリサのつもりです。 ……よく分からない状況だった。 「はい、これはフェイトね」 「あ、うん。ありがとう」 ユーノ君がクッキーやらキャンディーやらを私達5人に配っている。 「これは、なのは」 「ありがとう……ユーノ君」 私――――月村すずかはキャンディーを貰った。 なのはちゃんはクッキーを貰った。 フェイトちゃんもクッキーを貰った。 はやてちゃんはマシュマロを貰った。 「それじゃ、最後だけど……これはアリサね」 「うん、ありがと……って」 アリサちゃん しかも今日は2月14日だったりするわけで。 「ちょ、ちょっとユーノ! 何考えてるのよ! バレンタインにチョコなんて!」 「え? だって今日は大切な人にお菓子をあげる日でしょ?」 「そりゃそうだけど!」 きっと、ユーノ君は袋に適当に入れてきたお菓子を適当に配っただけなんだと思う。 でも、アリサちゃんにはそんなことは通じてなくて。 私の後ろで嫉妬と言う名の炎を静かに燃やしてる女の子がいて。 「それに、アリサも僕の大切な人だからね。アリサにだけあげないってわけには」 その言葉にアリサちゃんは顔を赤らめてしまって。 「ユーノ君。アリサちゃん」 ……私の後ろに立っていた女の子の、ストッパーが外れてしまったみたいです。 「ちょっと、屋上に来いなの」 「人が暴走すると、だいたい暴走した本人が損をするの図」 「な、なのは! これはね、日本のそういう文化は知らなかったというか!」 場所は変わってここは屋上。 「それくらい調べとけなの」 なのはちゃんがその言葉を吐くと、手に桜色の光球が現れて―― ユーノ君目掛けて飛んだ。 「うわっ!」 ユーノ君は自分の目の前に光の壁のようなもの――きっとバリアなんだろう――を作り、光球を防ぐ。 「ちょ、ちょっとなのは! 冗談でもキツ過ぎるわよ!」 ユーノ君の後ろに立っていたアリサちゃんが叫ぶ。 「……この状況って、かなり危なくないかな?」 私の隣のフェイトちゃんが呟いた。 「まあ、なのはちゃんとユーノ君はいいとしても、魔法が使えないアリサちゃんがピンチやね」 はやてちゃんが他人事のように意見を言う。 念のため今の立ち位置を確認しておきます。 私から向かって左手にはなのはちゃん。ずっと下を向いています。 右手にはユーノ君。そして彼の後ろに隠れるようにアリサちゃん。 以上、確認&丁寧語終わり。 「で、ユーノ君」 なのはちゃんが口を開いた。 「1度だけ弁解を認めるの。10秒以内に言えなの」 「10秒っ!?」 「8、7、6……」 なのはちゃんはユーノ君の言葉をスルーし、無常にカウントを続けていく。 「え、えっと! だからたまたまアリサにチョコが渡ってしまっ」 「10秒経ったなの」 ユーノ君はまだ弁解を続けたいみたいだったけど、なのはちゃんの冷たい一言に凍りつく。 「とりあえず、事情はわかったなの」 なのはちゃんのその言葉にユーノ君とアリサちゃんは顔を輝かせる。 「でも二人とも消え去るがいいの」 レイジングハートを手にそう言い捨てたなのはちゃんの姿を見て、ユーノ君とアリサちゃんは再び凍りついた。 『Divine』 杖の先端に桜色の光球が発生する。 「アリサ、こっちに!」 ユーノ君はなのはちゃんの攻撃は避けられないと判断したらしい。 アリサちゃんを引き寄せる。 「ちょ、ちょっと何するのよ! こんな時に!」 「こんな時だから! もっとくっついて!」 そんな二人の姿を見て、なのはちゃんは容赦なく光線を発射した。 『buster』 「ぐっ!」 ユーノ君は先と同じように右手でバリアを展開して光線を防いでいた。 左手でアリサちゃんを抱えながら。 「は、離しなさいよっ!」 ……こんな攻撃を受けている中でも、アリサちゃんは恥ずかしがることを忘れてなかったみたい。 「今離したらシャレにならないよっ!」 ユーノ君はアリサちゃんの言葉に律儀に反応する。 「いやー、本当にヤバイ状況になってしもた」 「こんなこと言ってる場合じゃなくて早く助けないと!」 おっとりとした調子のはやてにフェイトがツッコミを入れる。 「うーん……このままのほうが面白……もとい、このままでも大丈夫じゃないんかな? ほら」 はやてちゃんの指差した先を見ると、少し前までは物凄い太さだった光線が細くなり始めていた。 ――それから5秒もすると、光線は完全に消え去った。 「どうにか、防ぎきれたか……?」 ユーノ君はアリサちゃんを抱えながら呟く。 「ふふふ……今の砲撃はほんの小手調べなの。体も暖まってきてし次は」 「ごめん、なのは」 なのはちゃんの言葉を最後まで言わせずにユーノ君は何か、魔法を発動した。 「―――!!」 するとなのはちゃんの周りに緑色の糸と四角い檻みたいなものが現れる。 後ではやてちゃんに教えてもらったことだけど、あの魔法はバインドと防音結界というものらしい。 「―――!!」 なのはちゃんは緑の糸に縛られながらなにか叫んでいるみたいだけど、こっちには何も聞こえない。 「アリサ……その、ごめん」 ユーノ君はなのはちゃんを放っておいて、先にアリサちゃんに謝った。 「べ、別に謝らなくいいわよ……怖かったけど、その……ちょっと、嬉しかったし」 アリサちゃんは顔を赤く染めながらそんなことを言った。 「……え?」 ユーノ君の顔も、赤くなった。 |