ここ数年ですっかり馴染みになってしまった“子供フォーム”
主の魔力供給を受けて生きる存在である使い魔は、いるだけで主の負担になってしまう。
少しでも主の負担を減らすために考え出されたのが“子犬フォーム”及び“子供フォーム”であった。

「お……重い……」

 茜色の髪が揺れる少女、アルフ。
本来の彼女は16歳ほどの体躯をしているのだが、今は10歳ほどの少女の姿である。

「やっぱり子供だと力が出ないなぁ」

 彼女こそ“子供フォーム”を考え出した“子供フォーム普及委員会会長”である。

「う、うーん。うーん」

 細い両手いっぱいに荷物を一生懸命抱えて街中を歩く姿は、見る者の頬を緩ませてしまう。
初めてのお使い、とでも言えばいいのだろうか?
荷物を落とさないよう必死になって歩く彼女の姿を見た人々は表情が穏やかだ。
微笑ましいという光景はこういうものを言うのだろう。

「う……腕がつーかーれーたーっ!? あ゛ーう゛ーっ」

 荷物の重さに耐え切れなくなってきたのか、足元がふらつき始めるアルフ。
よたりよたりと左右に揺れ、とうとうぐらりと倒れそうになる―――

「うわっ……っ!?」

 ―――前に、彼女を強く支える者がいた。

「大丈夫か、アルフ?」

 白銀の髪たなびく浅黒い肌の少年。
見た目の年齢よりも大分落ち着いた声を持つ少年。

「あ……ありが」

 夜天の王八神はやての守護獣にして、“子犬フォーム普及委員会会員NO1”

「まったく、こうなるようなら見栄を張らずに普段の姿に戻ればいいものを」
「煩せぇーっ! 別にアンタに支えられなくったって平気だったよ!」
「そうか、それは悪いことをしたなァッ!?」

 そして今し方顔面を蹴り飛ばされた少年。
彼の名は八神ザフィーラ。
アルフとは獣仲間である。
ちなみに素体となった獣が同じ種族なので問題なく子供が出来る



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