FF4プレイメモ 〜 ゲームは1日1時間! 〜

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〜中間管理職の悲哀〜


 ニューゲーム! 格好良い曲と共に飛空艇が飛んでいきます。
 飛空艇には微動だにしない黒い騎士と、彼を囲む部下たちがいました。
 部下の1人が黒い騎士に話しかけます。

兵士「セシル隊長! まもなく バロンにつきます!」

 どうやら、黒い騎士はセシルだったようです。同時に、彼が立場ある人間だということも分かりました。
 兵士の声にセシルは「ああ……」とそっけなく返します。
 また、彼の相槌に続く兵士の言葉も戸惑いを孕んでおり。

「やはり 隊長も……」
「いくら 命令とはいえ……」
「罪もない人からクリスタルを……」

 などなど、乗り気ではない様子。後味の悪い任務の後。あるいは、これから『バロン』へ向かい後味の悪い任務を行う所なのでしょう。
 どこかに所属する者は意に沿わない任務を行わなければならないことだって当然ありえますが、それでも彼らはやりきれない様子です。

  ってぇっ!? クリスタルだとぅっ!?

 もう出てくるのかクリスタルッ! FF9では終盤に取ってつけたように出現。FF7やFF8では出番すら無かったあのクリスタルが、開始数秒でその存在を仄めかされましたよぉっ!?
 FF4ではクリスタルが頻出するキーアイテムなのでしょうか……?
 などと疑問に思っていると回想シーンが始まり、強奪シーンが展開されます。
 クリスタルを守るべく立ちはだかった白魔道士たちを一刀の下に切り伏せ、クリスタルを強奪します。無事に任務を果たし本来なら喜ぶべきセシルですが、身を屈ませて苦しそうにしています。

「僕は……なんてことをしてしまったんだ……」

 苦々しい想いを抱き、そんな風に呟いたのかもしれません。
 回想シーンを終えると、やはり兵士たちもやりきれない思いを抱えていたのでしょう。
 声高々に不満を叫びます。

兵士「我々『赤い翼』は誇り高き飛空艇団! か弱いものから略奪など!」
兵士「無抵抗な魔導師たちから略奪するなんてっ!」

 と、怒りを抑えられない様子です。
 セシルが「やめるんだ!」と一喝しても聞き入れる様子は無く、如何に後味の悪い任務を行ってきたかがよく伝わってきます。

  …………が。

 思いました。ここで思いました。
 やりきれない任務。不満を訴える部下と、自身も不満を抱えつつも上のことを考えて部下を叱咤する上司。しかし、部下は聞き入れない。

  これは中間管理職だ。

 セシルから中間管理職の悲哀を感じました! これは正しく『上司』と『部下』に挟まれた悲劇の人のフラグ! 絶対に損しながら生きるフラグですよこれはっ!

「いいか皆っ! クリスタルは、我がバロン国の繁栄のためどうしても必要だ。ミシディアの者たちはクリスタルの秘密を知りすぎているとの陛下のご判断だ。我々はバロン国飛空艇団『赤い翼』だ! 陛下の命令は絶対なのだ……」

 猛々しい声を上げて語る言葉もなんだか尻すぼみになってしまっています。やはり、セシル自身も納得できていないのでしょう。やっぱり中間管理職だよセシル
 ところで、セシルたちの所属がバロン国であり、現在は任務を終えて帰路についているということが分かったのですが。件の陛下、セオリーだと悪い奴ですよね。陛下は当面の敵ですか。帰ったら暗殺だっ!

  さて。

 セシルの『絶対なのだ』といいつつも後に続いた『……』から滲み出る中間管理職の悲哀悔しさに、部下たちもやるせない表情を見せます。
 飛空艇の中がなんとも言えない雰囲気になりますが、空気を読んだ魔物が現れたとの報告が飛び込みます。戦闘ですッ! さぁっ! スーファミ初のアクティブタイムバトルシステムがどうなっているか見せてもらうぜぇっ!

 ……って。あるぇ

 何だか、何もしなくても「赤い牙」で敵を一掃しましたよ? あれっ!? 僕、何もしてないのにっ!? イベント戦闘かよっ! 僕の意気込みを返せっ!
 立て続けに襲い掛かってきた魔物も撃退し平穏が訪れます。しかし、セシルの部下たちが不安を口にし始めました。どうやら近頃は魔物が頻出しているようです。

「なにかが……起ころうとしているのか?」

 と、不安になるセシルですが、多分陛下が悪いんだと思うよ。きっと、クリスタルは世界を安定させる何かなんだよ! それを略奪しているから世界の安定が乱れ、モンスターが頻出しているんだっ! つまり陛下を暗殺すれば平和が戻ってくるっ
 なんて妄言を吐いていると、バロンに到着。任務を終え、報告のために城へと向かうセシルでした。



〜バロン城〜



 城門の前で「ベイガン」なる人物がセシルを出迎えてくれます。見事にクリスタルを手に入れてきたセシルを労うベイガンですが、セシルの方は「ミシディアの人々はまるで無抵抗だった」と悔悟の念に駆られています。きっと、表情にも無念の色が浮かんでいることでしょう。
 しかしベイガン「何をおっしゃるのです。さぁ、陛下がお待ちです」とまるで気にしていません

  空気読めよベイガンッ!

 空気読めないベイガンに引き連れられて謁見の間へ向かいます。途中、『宝箱』が目についてしかたありませんが、今は強制移動中のため取りに行けません。後々取りに行こうと決心しつつ、先へ進みます。
 謁見の前の前でベイガンに「しばしお待ちを」と言われて素直に待つセシル。
 先に謁見の前に入ったベイガンは、陛下に耳打ちをします。これは様子がおかしいぞぅ?

ベイガン「陛下……恐れながら、セシルの奴めが陛下に不信を抱いている様子です」
バロン王「まことか!」

  ちょっ。ベイガンふざけんな! 敵はお前かっ!

バロン王「流石は近衛兵長。よく知らせてくれた! だが、クリスタルさえ手に入ればよい。セシルを呼んでまいれ」

 ……ダメだ。この陛下、明らかに黒だ。
 セシル! あんた、上司にも同僚にも恵まれてないよっ! ○−人事! ○−人事しよう! ねぇっ!

 ベイガンと陛下の密談なぞ露知らず、可哀想なセシルは謁見の間へと入ります。
 セシルは「水のクリスタル」をベイガンに渡し、ベイガンから王へとクリスタルが渡されます。クリスタルはどーやらまばゆい輝き放つようで、それが本物の証なのでしょう。
 クリスタルを渡せば用済みとのごとく下がってよいと陛下に言い渡され、セシルは退室しようとします。しかし、思い留まってしまいます
 踵を返し、国王陛下に対してセシルは堂々と告げます。

「陛下はいったいどういうおつもりです? 皆、陛下に不信を抱いております!」

  ……あれ? セシル、それは死亡フラグだっ!

 セシルのセリフに、王は顔色を変えることなく返します。「お前を始めとしてか?」と。
 あぁ、セシル。わざわざ切られにいかなくてもいいのに……。

「決してそのようなことは!」
 反論しますが、先ほどのベイガンの言葉もあって王は取り合ってくれません。哀れ、赤い翼を任せてはおけんと言われ飛空艇部隊長の任を解かれてしまいます。

  ……次の部隊長にはベイガンがなったりして?

 なおも食い下がろうとするセシルですが、陛下の側近に抑えられて動けません。
 結局、王に左遷幻獣討伐の任を押し付けられ、ミストの谷付近に出没する幻の獣を退治し、ついでにミスト村へ『ボムの指輪』を届けろと言い渡されます。
 長旅を終えたセシルに鞭を打つ「明日出発」の王の言葉。セシルさんはどうにか食い下がろうとしますが、王の側近に阻まれてやはり身動きが取れません。

  そこに、新たな人物が登場します。

 名前欄には「カイン」と表示されていて、この人は説明書に大きく乗ってたから仲間なんだろうなぁ。どうやら彼はセシルと同僚のようです。
 カインは「お待ちください!」と言うと、続けて「セシルはそんな……」と言おうとしますが、彼も陛下の側近に抑えられます

  だめだっ! 役立たずだ!

 結局、役立たずも「こやつのことが心配なら、お前もセシルとともにいけ!」と、とばっちりで幻獣討伐の任務に尽くことに。
 ボムの指輪を投げつけられ、謁見の間を追い出されてしまいます。
 固く閉ざされた謁見の間の扉の前で、セシルは厄介事に巻き込んでしまったことをカインに謝ります。
 しかしカイン、落ち込むセシルを励ますように、

「その幻獣とやらを倒せば陛下も許してくださる。また、赤い翼に戻れるさ」

 と言います。
 セシルはちょっとヘタレっぽいから凹み担当で、カインが励まし担当でしょうか? つまり、セシル受けのカイン攻め。もしかしたら城の女中の間ではそーゆー本が出回っているかもしれません。アッー!
 長旅を終えたセシルを気遣ってか「準備は俺に任せて今夜はゆっくり休め」とカイン。彼の好意に甘えセシルは休むことにします。

  っと、ここで自由探索の時間が訪れます。

 まずはステータスと持ち物の確認! RPGの基本だよね。
 セシルは「暗黒騎士」なのですか。いかにも悪そうな職業です。格好も黒騎士だし。多分、ミシディアの人々には悪鬼に見えたと思うよ。
 レベルは10。おおう、1じゃないのかっ!? 流石隊長様、レベル高いね! HPも200あるし。でも……MP0だよ。
 利き手も設定されている模様。セシルさんは右利きのようです。利き手があるということは、二刀流とかでもできるのかなぁ。で、装備した手によって命中率なりに補正がかかるとか。
 ステータスで不思議なのは攻撃と防御に回数があること。これって何なんだろう? 1度戦闘をしてみれば分かるかな。攻撃2、防御1、魔法防御0。覚えておきましょう。
 セシルはMPが0なので、当然ながら「魔法」は使えません。
 アイテムはボムの指輪のみ。

  ……え、ポーション無いの?

 MP無いのにポーション無いのっ!? ちょっと待ってよそれってダメージ食らえないじゃんっ!? セシル自身は回復能力を持っておらず、しかも前衛アタッカーなのにっ!? ちょ、なんでやねんっ!
 慌てて装備を確認してみますが、

右手:暗黒の剣
左手:暗黒の盾
 頭:暗黒の兜
 体:暗黒の鎧
 腕:暗黒の篭手
 
 と。あんた、本当に主人公かよっ!? と突っ込みたくなる装備。いや、もしかしたら黒が好きでこんな格好をしているのかも。店に黒い鎧がこれしかなかったとか。で、暗黒装備のせいで暗黒騎士と呼ばれるようになったとか……。やばい、不憫だ。この人はどーあがいても不憫だ……。

  ところで所持金が0なんですが。

 もしかして陛下は給料を払ってくれないのでしょうか。セシル長期任務を終えたばっかですよ。って言うか、管理職についている人間ですよ。そんな人間が無一文だなんてありえねぇよっ!

  そんな会社、辞めてしまえぇっ!

 ……さて。城内を探索してみると、やはり陛下に不信を抱いている者と、あくまで陛下を信じる者。そして、なにやら不穏な陛下側近組の三つに分けられるようです。内部分裂の兆しが見えますね。大丈夫なのでしょうか、この会社
 城の中にはカインもいます。準備をしている途中なのでしょうか? カインと話すとセシルのセリフがあり、

「僕は陛下の命令で暗黒剣を極めた。でも、それはバロンを守るためで罪もない人々から略奪をするためではなかったはずだ」

 と無念を語ってくれます。カインはセシルを励ましてくれますが、セシルは『お前が羨ましい』と言います。彼の言葉に対してカインは、

「俺の父も竜騎士だった。暗黒剣を極めれば階級も上がるだろうが、俺にはこっちの方が性に合う。それに、竜騎士であれば幼い頃に死に別れた父をいつでも感じられる気がしてな……」

 と、何やらこちらも事情が複雑な様子。
 カインは最後に「らしくない話をしてしまったな」と笑い、続けてセシルに励ましの言葉をかけてくれました。あぁ、いいやつだなぁこいつ。
 城での話によると、カインは竜騎士隊の隊長であるらしい。すごい人なのか。

 また、ミストの谷はバロンより北西。いつも深い霧が立ち込めているらしいです。今後に必要そうな情報なので要チェックです。ところで、霧は自然発生したのか、それとも幻獣が発生させているのでしょうかねー?

 1階に下りると宝箱の部屋が。しかし、よくよく見ると宝箱の部屋には入り口がありません。不思議に思って部屋の近くにいる兵士に話を聞くと「この部屋にある宝箱は幻獣討伐のために持っていっていい。壁のスイッチを押せば扉が開く」と教えられます。王様は激昂してしましたが、なんだかんだで必要経費は払ってくれるんですね。セシルは経費をちょろまかすことを覚えていないから所持金が0ギルの予感。カイン辺り、ちょろまかすのがうまそうだから小金を溜めてそうですね。
 宝箱には『テント』と『エーテル』と『480ギル』が。おお、お金だっ! 王様ありがとうっ! お金、ありがとうっ! でも、セシルもカインもMP0なのでエーテルをもらってもあんまり嬉しくはありません

  城の探索を続けると、セシルを呼び止める声が。

 「ローザ」と表示された彼女は、服装からして踊り子か魔道士でしょうか? セシルを心配する声を上げるローザに「無事さ。無抵抗な魔道士に傷を負うような腕は持っちゃいない」とローザを安心させようとしつつ、ヘタレます
 そのまま去ろうとした彼にローザは食い下がり、「あとで、貴方の部屋に行くわ」と告げます。セシルも「ああ……」と返し……。

  え、何?

 この2人ってもしかして、ただならぬ関係ですかっ!? え、うわっ!? え、えろえろですかぁっ!?
 どっきんばっくんしながら探索を再開。城を囲う水堀への出口を見つけ(でも、水堀を一周しても何の意味があるか分からなかった)つつ、地下牢へと。
 地下牢には、ミシディアで反抗した魔道士たちを閉じ込めているようです。
 中には黒魔道士2人と白魔道士が。もち、女の子から話しかけます
 白魔道士からは、

「私たちはどうなってもいいからクリスタルだけはミシディアに返して!」

 と言われ、黒魔道士たちからは、

「クリスタルはただの宝石ではない!」
「貴様はあの暗黒騎士! この野郎(意訳)」

 と言われます。多分、またここでセシルはへこんだんだろうなぁ。
 黒魔導士たちの前ではそういった様子を見せなくても、城の廊下を歩く最中では肩を落として項垂れて。
 手には、抵抗した魔導士を手に掛けた時の感触が蘇り、身内に湧くやり切れない想いに身を引き裂いてしまいたい衝動に……かられたのかも、しれません。

 城を歩いていると「シド」に遭遇。出会い頭に「ローザを泣かせるな」と言われ、また、

「陛下に新型の飛空艇を作れと言われている。しかし、自分は飛空艇を人殺しの道具にしたくない」

 という胸の内を告げてくれます。陛下は何を考えているのでしょうね。
 最後にシドは「家に帰る。娘に会う」と告げて立ち去ります。長い間帰ってないそうですので、きっと飛空艇の開発・製造作業で徹夜続きだったのでしょう。。おつかれさまです。

 「赤い翼」の宿舎らしき場所にはセシルの部下『だった』者たちが。彼らも任務のことを引きずっていて、酒で忘れようとしています。
 また、城の中で『白魔法の研究室』と『黒魔法の研究室』発見。黒魔法の研究室ではたいした情報は得られなかったのですが、白魔法の研究室では、

・ローザはセシルの力になりたい! と白魔法の道を選んだ。
・最近の陛下は以前にも増して生命力が漲られている。

 という、2つの情報を教えてもらえました。ありがとう白魔

 白魔導士による「ローザを泣かせないでね」の言葉を耳に残しつつ、城内の探索も終えたので塔の最上階に設えられた『自分の部屋』へ向かいます。
 こういう場所に一室を与えられているということは、セシルはかなり偉い騎士なんだろうなぁ。暗黒騎士だけど。

 ベッドで鎧のまま休むと、セシルは思考の整理を始めます。ついでに僕も情報の整理をしてみます



【クリスタル】
・バロン国の王がクリスタルを集めている。
・ミシディアの魔導士曰く、クリスタルはとても重要なものらしい。
・ミシディアの「水のクリスタル」はバロン国王の下へ。

【大陸情勢】
・最近、大陸ではモンスターが頻出する。
・以前と比べ、モンスターの活動が活発化している。

【バロン国】
・飛空艇団「赤い翼」を保有している王国制国家。

【バロン王】
・バロン王はクリスタルを集めている。
・バロン王は以前よりも生命力を漲らせている。
・新型飛空艇の製造をシドに命じている。

【バロン城】
・バロン城は3派に別れている。
・バロン王盲信派がある。
・バロン王懐疑派がある。
・バロン王側近派がある。

【セシル】
・暗黒騎士セシルは、バロン国飛空艇団「赤い翼」元隊長である。
・バロン王に命じられ、幻獣討伐任務を果たすべく「ミスト村」へ向かうことに。
・バロン王に命じられ、「ミスト村」に「ボムの指輪」を届けることに。
・セシルは王の命令で暗黒剣を極め、暗黒騎士になった。
・王を信じようとしていながらも、王の命に懐疑的になっている。
ローザと良い仲

【カイン】
・バロン国所属の竜騎士隊長。
・亡き父も竜騎士であった。
・セシルと共に「ミスト村」へ向かうことに。
暗黒剣を極めての出世を良しとしない

【ローザ】
・白魔導士。白魔法を学んだのはセシルのため
セシルと良い仲。彼を心配している。

【シド】
・バロン国飛空艇技師の偉い人。
・セシル、そしてローザのことを見守っている。
・娘がいる。
・バロン王に新型飛空艇の開発を命じられている。
・飛空艇を殺人用の道具にしたくないと零している。

【ベイガン】
KY



 ベッドの中でセシルは呟きます。

「陛下は……どうされたのだ? 以前はナイトとしても名を馳せ、優しくて強いお方だった。孤児みなしごの僕やカインを自分の子供のように育ててくれた。ミシディアのクリスタル……無抵抗な村人から奪ってまで手に入れねばならぬほどのものなのか……。命令とはいえ、あんなことは!」

 彼の心中はとても複雑なようです。
 信頼し、尊敬している王。大恩もあり……何より、彼にとっては父のような存在なのでしょう。
 もしかしたら、セシルにはバロン王とは絶対に近い存在なのかもしれません。だからこそ納得の行かない任務にも赴いた。そういうことなのかもしれません。
 しかし、実際に任務を果たす中でセシルの心に迷いが生じました。いや、頑なだった心に亀裂が入ったのかもしれません。
 彼の心は今、悲鳴を上げているのかもしれません。
 様々な感情が出口を求めて彷徨う、堂々巡りの状態です。

  そんな。心が押し潰されてしまいそうなセシルの下へ。
 
 彼を心配したローザが来訪してきました。しかし、セシルは彼女に背を向けます。
 ローザが掛ける言葉を「なんでもない」と一蹴し、ローザを遠ざけようとします。
 見ていて、そして触れていて。ローザにはセシルが痛々しく見えていたのではないでしょうか……? 「だったらこっちを向いて!」という悲痛を孕んだ声を上げました。
 ローザの前にセシルは観念したのか、独白を始めます。

「僕はミシディアで……罪も無い人々からクリスタルを! この暗黒騎士の姿同様、僕の心も……!」

 セシルは暗黒騎士である己を……恐れているのでしょうか。
 罪の無い人々を襲ったこと、そして暗黒騎士であることが、彼の自責の念を駆り立てているようです。
 暗黒剣を極め、騎士としては、戦士としてはとても強いセシル。飛空艇団の隊長を務めるほどですから、国でも首座を争う腕前なのかもしれません。

  でも。いくら強くても、心は砕ける寸前です。

 落ち込むセシル。彼に、ローザがそっと寄り添います。

「貴方はそんな人じゃないわ」

 という、優しい声がセシルを撫でました。
 しかしセシルの悩みは根が深く、

「僕は陛下には逆らえない、臆病な暗黒騎士さ」

 と自嘲してローザに背を向けてしまいます。
 セシルとローザ。寄り添っていた2人の距離が、開きます。
 ローザはセシルに、

「赤い翼のセシルは、そんな弱音は吐かないはずよ! 私の好きなセシルは……」

 と。

「明日はミストへ行くんでしょ。貴方にもしものことがあったら、わたし……」

 と。
 ……最後には、今にも泣き出してしまいそうになりながら。いや、もしかしたら泣き崩れながら、セシルに話しかけます。
 思いをいっぱいに込めて、それで泣き出してしまったローザ。今度は、セシルからローザに寄り添う番でした。
 しばしの抱擁を交わした後に、

「心配いらないさ。カインも一緒だ……」

 と告げ、「もう遅い。君も休むんだ」とローザを返します。
 ローザは去り際も『気をつけてね……!』とセシルを心配していきます。



  ……しかし。



 考えてみてください。セシルは暗黒騎士。そして、カインは竜騎士。この男2人パーティは、恐らく回復手段を持っていません。そーゆー手段を持っていそうなのはローザくらいです。
 ちょ、ローザ! 仲間! 仲間になって! 好きならセシルについてきてぇぇぇええええええっ!

  ……ゲーマー感情だぁいorz



 ローザの後ろ姿を見送るセシルは、プレイヤーの心情も伝わってか寂しそうです。

「ありがとうローザ……。だが、僕は暗黒騎士。君とは……」

 ……と。
 どうやら、“暗黒騎士であること”がセシルの心根に深く深く暗い陰を落としてしまっているようです。



 朝になればカインと合流します。「あてにしてるぜ」とのセシルの言葉に「フッ、任せておけ」とカインは自信たっぷりです。
 男2人で連れ立って冒険に出かけます。
 そこでモノローグが流れ始めました。
 音楽も雄大になり、なんだか頼もし……FFのテーマだこれぇええええええっ!?
 格好良い背景も登場し、モノローグは流れていきますっ!



人々の夢であった空をかける飛空艇。
しかし、その飛空艇は欲望の塊。
飛空艇により最強の軍事国家となったバロン。
何故バロンはクリスタルを求め始めたのか。
そして、何故数多の魔物は、その姿を白日の下にさらしたのか。
まだ、全ては謎のまま……。



 さぁ―――物語の、始まりですっ!



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