「ね、ユーノ君」 「何、なのは?」 「今日はね、12月24日なんだ」 「……それがどうしたの?」 「えへへ〜。今日は一緒にいようね」 「それはいいけど……なんで?」 「今日はね、クリスマス・イヴなの」 「くりすますいぶ?」 「だから一緒にいるの」 「くりすますいぶって何だろう…………?」 「……えへへ〜♪」 ひ〜ざをか〜か〜え〜て〜♪ へ〜やの〜か〜た〜す〜み〜♪ 『リリカルラジオ・なのはとユーノの放送局!』 「メリークリスマス!」 「こんば……え? め、めりーくりすます」 「ちょっと早いけどね、今日はこの挨拶」 「特別な日なんだね」 「うん」 「(……一体どんな日なんだろう、くりすますいぶって)」 「ユーノ君、ユーノ君。説明説明」 「あ、そうだね」 「……せーの!」 『“リリカルラジオ・なのはとユーノの放送局”は“魂の奥底から叫んでみよう!”の日記のイベント用拡大版です!』 「細かいことは気にせず楽しんでくれると吉ィィッアバラがぁっ!?」 「人体からしちゃいけない音が鳴り響いたっ!?」 「……私とユーノ君の間に割り込む人はみんなこうなるの」 「今日は2人っきり、だからね。ユーノ君……♪」 「あ……う、うん。あは、あは、あははははは……」 「この番組は、“FC2”と“けもの堂”“ExpensiveNoise”の提供でお送りします」 「私達の出番、これだけだそうだ」 「にゃー(切なきはパーソナリティ投票で負けたこと)」 「お前らスポンサーの宣伝をしろよ……っ!?」 「出演料は喋った時間で換算するので雀の涙だ」 「にゃふん(ミルクすら買えない時は出るとこ出るさ)」 「あぁもう……宣伝するからな、あたしが宣伝するからな……ッ!?」 「ヴィータ」 「アイコンは“けも……あんだよ?」 「にゃー(時間切れだってさー)」 「何しに出てきたんだあたし達はよぉおおおおおっ!?」 「ヴィータちゃんは今日も元気だね」 「……え? な、何の話っ!?」 「え? わ、私の台本にそう書いてあって……べ、別にどこからか変な声が聞こえたわけじゃないよ、ほ、ほんとだよっ!?」 「でも、ボクの台本にはそんなこと一言も書いてない……」 「う、え、う、嘘っ!?」 「なのは、根の詰めすぎは身体にも心にも良くないよ……?」 「違うの!? 違うの!? 聞いて、信じて、お願いユーノ君……っ!?」 「…………」 「ゆ、ゆーのくぅんっ!?」 「大丈夫だよ」 「え……?」 「ボクの台本にもちゃんと書いてあるから」 「え? だ、だって……」 「ごめん、ちょっとからかってみたんだ」 「……ユーノ君っ!」 「ごめんごめん。慌てるなのはがおかしくってさ」 「……ディバイ」 「それと、おかしい以上に可愛かったから」 「ン……あ……う……あぅ……」 「あ、あはは。ぼ、ボク何言ってるんだろうね! さ、最初のコーナーに行こうかなのは!」 「そ、そそそそうだねユーノ君!」 「じゃ、じゃあお便りを読むよ!」 「ええと……ふ、普通のお便りコーナーだね!」 「そうそうっ。雑談から何気ない話まで何でもアリのコーナー! 記念すべき最初のお便りはこれ…………!」
「ぶふーっ!?」 「あ、あぅぅ……え、ええと……あ、あぅ〜ぅ〜っ!?」 「ぼ、ボク達、まだ付き合ってもいなくて」 「3人欲しいですっ!」 「ちょ、あ、な、なのはぁっ!?」 「えぁっ!? にゃ、にゃはは……あ、あぅあぅあぅあぅあぅ」 「え、ええと。ぶちさんお便りありがとうございましたでもその質問は恥ずかしいです、ホント!」 「あぅあぅあぅあぅあぅ」 「な、なのはーっ!?」 「あのね、ユーノ君!」 「はいなんでしょうかっ!?」 「クリスマス・イブってね、恋人」 「話が進まないのでゲストして呼ばれ」 「ディバインバスターァアアアアアッ!」 「クロノーっ!?」
「…………」 「…………」 「…………」 「…………」 「えっ…………と」 「世界はこんなはずじゃなかったことばっかり、なの」 「……そう、だよね」 「クロノ君……せめて安らかに眠って……」 「……次のコーナー、行こうか?」 「……うん」 「ちょっと待て、僕は死んでな」 「エクセリオンバスターァアアアッ!」 「クロノォオオオオオッ!?」 「私、罵るなんてできないよ……?」 「ボクがやるから」 「でも……」 「ボクはなのはが誰かを罵倒するところなんて見せたくないんだ」 「ユーノ君……」 「だから、ね? ボクに任せて」 「うん……ありがとう、ユーノ君♪」 「わ、わっわっわっ!? 抱きつかないでなのは!? お、お便り読むよ!」 「うん…………♪」
「くたばれ。地獄で懺悔しろ」 「なのはーっ!?」 「あれ……? 私、一体何を…………?」 「……さっきの前フリは一体何だったんだろう」 「えっと…………」 「キツネさん。データーの保存は小まめにしておきましょう」 「データーってよく消えるもんね」 「そうそう。予期しない出来事で、ね」 「ユーノ君のお仕事のデーターは大丈夫?」 「うん。たまにうっかり消えちゃうこともあるけどね……」 「ユーノ君、うっかり禁止」 「完全以外全否定!?」 「だって……ユーノ君の仕事が増えたら会える時間が減っちゃうから……」 「あ…………」 「だから、ね?」 「うん、気をつけるよ」 「わがまま言ってごめんね」 「なのはのだから、いいよ」 「にゃはは♪ ありがと、ユーノ君♪」
「人生……っかぁ」 「難しい問題だね……」 「うーん。うちの司書長に聞いた話なんだけどね」 「あ、あのお爺さん?」 「そうそう。司書長、色々な話をしてくれるんだけどね」 「うんうん」 「やっぱり、長く生きていく中で道に迷うことは何度もあって……」 「……生きた時間の分だけ迷うこと、あるもんね」 「そう。それである時、司書長は“迷わずにすむ方法は無いか?”って考えたことがあったんだって」 「そんな方法、あるのかな……?」 「見つけられたと、思う?」 「うー…………ん。分からないや」 「司書長もそうだったって」 「……分からない、ってこと?」 「そう。迷わないですむ方法なんて分からない、って」 「そうだよね。でも……生きる中で迷うことが無くなっちゃいけないと思うんだ」 「どうして?」 「悩まないで生きられたら楽だよね」 「そうだね」 「でも、“楽”と“楽しい”って……違うよね?」 「そう……だね」 「楽な人生って、楽しいのかな?」 「少なくとも苦しくはないと思うけど……」 「そこまでだと思うんだ」 「?」 「楽は苦しくない。そこまでで終わりだと思うんだ、私」 「なのは……?」 「楽しいってことは苦しんだ先にあるって思うんだ」 「…………」 「私、今が楽しいよ? ここに来るまでいっぱい悩んで、いっぱい苦しんだけど」 「……なのは」 「だからきっと、今が楽しいんだと思うの。苦しいことを知ってる、悩んだ時を覚えてる。だから何気ない今がとっても楽しい。私は、そう思うよ」 「……そっか」 「うん」 「なのはは強いね」 「あ、頭撫でられると髪型崩れちゃうから……ユーノ君……」 「んー、そっか」 「相槌だけ打って止めようとはしないのっ!?」 「止めて欲しい?」 「あ……うん……えっと……」 「どうする、なのは?」 「髪の毛……」 「?」 「髪の毛、下ろすから。……だから、もっと撫でてください」 「うん。了解しました♪」 「あぅ…………♪」 「“迷う”という問題は個々人により原因が様々に変化するもの。一概にどうすれば良いということは言えないが……肩の力を抜いて、真っ白な心で自分とその周りを見渡すと案外簡単に進む道を見つけられることがあ」 「ストライクフレェエエエエムッ!」 「直刺しっ!? クロ……クロノーォオオオッ!?」
「それはまた……難しいなぁ……」 「う、うーん」 「なのはの世界に“人の噂も七十五日”って言葉があるから……時が経つのを待つこと、かなぁ」 「季節が1つ過ぎるまでは抑え気味に行くといい、かな」 「そうだね。それだと75日超えるんだけど……まぁ、それだけ経つまで何もしなければみんな忘れるだろうね」 「忘れられちゃうまでは話題に挙がっちゃうけど……それは仕方ない、かな」 「過剰な反応をしないこと。噂にする人が面白く思わなければそんなに話されることは無いだろうから」 「そういえば、ユーノ君。気になる噂を聞いたんだ」 「うん? 一体どんな噂なの?」 「……嘘だって、信じてるからね?」 「一体どんな噂なのっ!?」 「ユーノ君がすずかちゃんと付き合ってたって……」 「…………」 「嘘……だよね……?」 「…………」 「…………」 「…………」 「や、や、やぁすずか」 「こんばんわ」 「す、すすすすすずかちゃん!?」 「邪魔しちゃったかな……?」 「そ、そんなことないよ。ね、ねぇなの」 「……ぶつぶつぶつぶつぶつ……」 「!?」 「あ、私ね。今日のゲストなんだって」 「…………」 「そ、そうなんだ。あ、あは、あは、あははははは……」 「(…………すずかちゃんがいるのに否定しないってことは本当なの、ユーノ君?)」
「それはまた……大変だね」 「ユーノ君の部屋であの本を見つけた時はびっくりしたなぁ」 「ちょ、そのことは忘れてっ!?」 「くすくすくす。私は忘れないよ、ユーノ君」 「あ……あぅあぅあぅあぅあぅ」 「くすくすくす」 「…………」 「え、ええと。変に弁解すると余計な誤解を生むだけだから、割り切っちゃうくらいでちょうどいいんじゃないかな」 「経験談、だね♪」 「えぁあ、いや、それは、その……っ!?」 「くすくすくす」 「…………」 「と、とにかく! 例えそうであっても友達が友達であることはきっと変わらないんだから、普段通りにしてればいいと思うよ!」 「涼しい顔をして流せるくらいになれば、あんまり突っ込まれずにすむよ」 「…………ボクはそれができないんだよなぁ」 「ユーノ君のそういう所、可愛いよね」 「うぇあ、ちょっ!? す、すずかぁっ!?」 「くすくすくす」 「…………」 「スターライトブレイカーァアアアッ!」 「何故ぇえええっ!?」 「救急……霊柩車ーぁあああっ!?」
「懐かしいものが……」 「初期の作品だからあの頃はまだ夏だったんだよね」 「そうそう。控え室が狭くて暑かったなぁ……」 「個室だったの?」 「ううん。クロノと一緒だったよ」 「あ、そうなんだ。それじゃあ、従妹役の子だけ控え室が別?」 「…………」 「ど、どうしたの?」 「あの話ってね、予算の都合で役者は3人だけだったんだ」 「うん。だから、ユーノ君と、クロノさんと、従妹役の子と……」 「フェイト」 「え?」 「ボクとクロノと、フェイト」 「だ、だって」 「……従妹の子とクロノ君のキスシーン、あったよね」 「言わないで忘れようとしてたんだからっ!?」 「…………」 「あぁ、今でも目を閉じると思い出すあの時の唇の感触があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」 「ゆ、ユーノ君落ち着いて」 「落ち着けってっ!? ボク、あれがファーストキスだったんだよっ!?」 「クロノさんもたぶんそうじゃないかなぁ……」 「だったらボク達はお互いがファーストキスの相手っ!? そんな、男同士でっ!?」 「あ、あはははは……」 「……え?」 「しかもその後、女装での出演依頼ばっかり来るし……」 「でも、今は普通の依頼だって来てるよね」 「うん……だからまぁ、苦笑いしながら話せる過去なんだけど……」 「……女装での依頼は、受けたの?」 「聞かないでっ!? 無名の頃は仕事を選りごみできないんだよっ!?」 「くすくすくす」 「ううぅ…………」 「(ユーノ君のファーストキスがクロノ君であの話のころってことは、ユーノ君とすずかちゃんが付き合ってたって噂は嘘なのかな? 恋人さんなら……その、キスしたりもするよね……? あ、でも、秋頃に付き合ってたのかも……ううぅ。ユーノ君のばかっ)」
「あれは役柄であって普段からあんな恥ずかしいことしてるわけじゃっ!?」 「でも、ユーノ君ってベタベタするの好きじゃないかな?」 「そ、そうかな……?」 「そうだよ」 「う、うーん……。なのははどう思う?」 「…………」 「な、なのは…………?」 「ユーノ君、すずかちゃんと仲良いんだね」 「あ、あのー? な、なのは……?」 「知らないもん(プイッ)」 「なのはぁっ!?」 「くすくすくす。あ、甘くない商品を売ってた人は企業秘密です♪」
「なのはちゃんとユーノ君が話し合い中なので私が進めますね」 《どうもこんばんわ》 「こんばんわ、レイジングハートさん。早速ですけど……ど、どうでした?」 《その前に私には2,3言及しなければならない点があるように思えるのですが……》 「“細かな不整合には目を瞑ってください”だって」 《ぷ、プロデューサー……》 「それで、ずばり質問の答えは……?」 《い、言わなきゃダメですか?》 「答えてくれると嬉しいな》 《……は、恥ずかしいので答えたくありませんっ》 「そっか。なら別のことに答えてもらおうかな」 《へ……?》 「バルディッシュさんのことについ」 《恥ずかしすぎてブレーカーが飛んでました……!》 「て……残念」 《これでいいですよね、これでいいですよね!?》 「うん。でも次のゲストが来るからちょっと待っててね」 《次……?》 「うん。鬼の中の人だよ」 「…………」 《え、執務官……?》 「いや、他人の空似さ」 《でも執務官にしか見えません》 「そりゃアイコンは同じだからなぁっ!?」 「諸般の事情、だね」 「むしろ一価のような気もするが……まぁ、それはいい」 「貴方が中の人なんですか?」 「いいや、オレも代理。オレは鋼。っとゆーか、中の人などいないっ」 「誰……?」 「……まぁ、オレの話はどうでもいい。あいつはな、今里帰りしてるんだよ」 「里帰り?」 「年末だからな。それにアイツ、親孝行でな。仕送りは欠かさねぇし毎週故郷宛の手紙も書いてるし」 《そういえば、収録中は美味しい御菓子を戴きました》 「手作りだってよ、アレ」 「器用な人なんだね」 「そーそー。顔怖ぇから中々ダチはできないらしいけどな」 《文字通りの鬼ですもんね……》 「でも良い奴だぜ? 模擬しよ第二カードの役だって文句1つ零さずやってのけた」 《戦闘シーンではNGが多かったけど、彼は1つも出しませんでしたね》 「そそ。事前に台本から立ち回りまで完璧に覚えてくるからな」 「真面目な人なんだね」 「あぁ。本当は公務員になるか役者になるか悩んでたんだ、アイツ」 《公務員……それも親孝行ですか?》 「その通り。でも母親に“子供は気にせず夢を追え”って諭されたんだとよ」 「夢を追う人って、応援してあげたいなぁって思うなぁ」 《私も、そう思います》 「くすくすくす」 《どうして笑うんですかぁっ!?》 「ちょっと廊下でね、レイジングハートちゃんとバルディッシュさんが話してるのを聞いて」 《わ、わ〜わ〜わ〜っ!? 言わないでください恥ずかしいんですってほんと……!》 「くすくすくす」 「(…………なんて話してる間に、そろそろこのコーナー終了の時間が来たんだが。本来のパーソナリティの2人は何をしてるんだ?)」 「すずかちゃんとユーノ君って趣味も合うよね」 「なの……」 「2人とも話題が豊富で、喋り始めたら止まらなくて」 「ボクの話を聞いてなのは……っ!」 「ずっとすずかちゃんと話してればいいじゃない」 「ボクはなのはと……」 「嘘」 「嘘じゃない」 「嘘だよ。だって、さっきはずっとすずかちゃんと喋ってた」 「そ、それは……」 「ユーノ君の嘘つき……」 「……ごめん、なのは」 「私、謝って欲しいわけじゃないよ…………」 「あぅ……」 「ねぇ、ユーノ君。私ね?」 「あ……うん。なに、なのは……?」 「今日のこと、ずっと楽しみにしてたんだ」 「ごめ……あ。う……あぅ」 「クリスマス・イブってね」 「う……うん……?」 「恋人達の聖夜なんだよ」 「え…………?」 「私達は恋人さんじゃないけど。でも……私、今日をずっと楽しみにしてたんだよ……?」 「…………」 「でも、もういいよ。我がまま言ってごめんね、私が悪かったよ」 「なのは……っ」 「収録所に戻ろう? これ以上みんなに迷惑掛けられないから」 「なのは、聞いて……っ!」 「今戻れば最後のコーナーには間に合うと思」 「すずかには、恋愛相談をしたんだ」 「うから。せめて最後のお仕事くらいはちゃんとやろう」 「すごい親身になってくれて、ただそのせいで一時期変な噂が流れちゃったけど」 「そう、じゃあすずかちゃんに相談した人と恋人さんになれるといいね。応援はしてあげるよ」 「なのは」 「いいからもう戻ろうよ」 「聞いて」 「じゃあね、ユーノ君」 「…………」 『演じて! パーソナリティ』 「ただいま〜」 「おかえり、なのはちゃん」 「迷惑かけてごめんね、すずかちゃん」 「ううん、いいよ」 「そっか。ありがとね」 「さあ、最後のコーナーに行こう?」 「そうだね」 「最後は!」 「“演じて! パーソナリティ”のコーナーです」 「…………」 「(あ、やっぱりこじれちゃったんだ。煽りすぎちゃったかな……?)」
「(た、タイミングが悪いよ……)」 「ふ、ふふふ……ふふ」 「…………やろうか」 「(え、え、えぇええっ!? え、えーっと……こ、この雰囲気の中でやらなきゃいけないの……?)」 「ユーノ君、ユーノ君。今日の家庭科の授業でね、クッキー焼いたんだ」 「同じ授業出たんだから知ってるって」 「(2人ともとってもやる気だ……っ!?)」 「むー…………」 「あぁ、でも。うちの班は黒こげになっちゃったんだよね」 「(入らなきゃいけないの? 私はこの中に入らなきゃいけないの……?)」 「私の班は作りすぎちゃって余っちゃったんだ」 「へー、そうなんだ」 「だから、その……ね。ユーノ君、私の作ったクッキー食べてくれない……?」 「(上目遣いに甘えた声。なのはちゃん、そんなのどこで覚えたの……)」 「そっか。じゃ、貰おうかな」 「(動じてないよユーノ君っ!? ど、どうして……?)」 「はい、これ」 「(どうでもいいけど、このクッキーどこから出したんだろう?)」 「おいしい?」 「あ…………」 「あ、おいしくない? そっか、ごめんね変なもの食べさせちゃって」 「ちちち違うんだ、あんまりにも美味しくてリアクションが取れなく」 「フォローはいいよ。惨めになるだけだから」 「なの」 「あ、次の授業始まるよ? 席につこ?」 「なのは……」 「ゆ、ユーノ君」 「……どうしたの、すずか?」 「えっと……その……」 「大丈夫だよ」 「え……?」 「ありがとう。大丈夫だから」 「う、うん」 「…………」 「(これしきのことがなんだっていうんだ)」 「……リスナー置いてけぼりになってないか」 《マスター……はぁ》
「新婚さんだって」 「そっか、それなら……」 「……帰ってくるの遅いよ、ユーノ君」 「(始まったっ!?)」 「ご飯、もう冷めちゃってるよ……」 「書庫の仕事が中々終わらなくて……」 「言い訳は聞きたくない」 「ごめん」 「謝って欲しいわけでもないよ」 「(新婚早々離婚の危機だよ……っ!?)」 「……じゃあ、どうしろって言うんだよ」 「(ユーノ君それは……そのセリフは……っ)」 「知らないよ…………」 「じゃあ、ボクも知らない」 「…………」 「言葉にしないと伝わらないよ、なのは?」 「…………」 「帰りが遅かったことはボクが悪いよ? でもね、不可抗力じゃないか」 「……だ……」 「事情説明も駄目、謝るのも駄目。だったらボクにどうして欲しいんだい?」 「……やだ」 「結婚する前のなのははもっと話してくれた。どうしたいかも、どうして欲しいかも」 「やだよ…………」 「でも、今はそうじゃない。何? ボクに話しても受け止められないって諦められてる?」 「違うの、そうじゃないの……」 「何が違うって言うんだ。じゃあ、なんなのさ」 「それは…………」 「いいよ、なのは。もういいよ」 「え……?」 「亀裂が入るだけならこんな関係止めよう? 全部白紙に戻そうよ」 「それって…………」 「一度しか言わないからよく聞いて」 「……やだよっ」 「嫌がっても直接念話に流すから」 「どうして……!?」 「煩い……! ボクは君に申し立てる!」 「やめて――――!」 「……好きだよ、なのは」 「……………」 「演技じゃないから、今の言葉は」 「…………ユーノ君」 「もしもなのはもボクのことを好いてくれてるなら……ボクの恋人になってください」 「あ…………」 「どうかな? ……ダメ、かな」 「そ、そんなことないよ! そんなことない……よ?」 「意地悪かもしれないけど、ちゃんとした言葉で聞きたいなぁ」 「ちゃんと……え……う……あぅ」 「なのはの口から聞きたいな」 「あぅ……え、えっとね」 「うん」 「ユーノ君……私からもお願いします。私の恋人さんになってください!」 「もう一声!」 「え、えぅぅぅぅぅ……」 「言って、なのは」 「あぅ……………あ、あんまり大きな声じゃ言わないからね……?」 「うん。ボクにだけ聞こえればいいよ」 「ん……言うね」 「うん」 「……私は、ユーノ君のことが好きです」 「うん、両思いだね」 「うん…………♪」 「あ、あのー…………」 「あ、おいてけぼりにしちゃってごめんねすずか」 「それはいいんだけどね。今、ラジオの収録中なんだけど……」 「それがどうし……あ……」 「…………………」 「公共の電波に乗って流れちゃったよ、一連の会話……?」 「しま……っ!?」 「あぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅ〜〜〜〜っ!?」 「あ、あはは…………お、おめでとう2人とも」 「すな、素直に喜べない……うぁ、うぁ、うぁああああっ!?」 「にゃ、にゃぁ〜〜〜〜〜〜〜っ!?」
「え、えーっと……」 「ぼ、ボクはなのはを助ければいいんだね……っ!」 「お、お願いしますっ」 「(……帰っていいかな、私)」 「きゃ、きゃ〜〜〜!? クモ! クモ!? クモ〜〜〜!?」 「なのは、虫苦手なの……?」 「足がいっぱいあるのがダメなのっ!?」 「あぁ、人って足がいっぱいあるのか足がまったく無いの、どっちかが苦手だって言うもんね」 「落ち着いてコメントしてないで助けてユーノ君……!」 「もういないよ」 「あぅあぅあぅあぅ……え?」 「話してる間に向こうへ投げちゃった」 「あ……そうだったんだ」 「けど、ちょっと意外だったな」 「なにが……?」 「なのはにも苦手なものがあるんだね」 「それ、どういう意味……?」 「ううん。純粋に“君のことが知れて”嬉しいだけだよ?」 「本当に……?」 「ほんとさ。ね、もっと色々なのはのことを教えてくれないかな?」 「例えば……どんな?」 「そうだなぁ……あ、そうだ」 「うん……?」 「なのはの初恋って誰だったの?」 「へ? え……あ……あぅ……うん」 「答えづらい質問だったかな」 「そ、そうじゃないの! あ、あのね」 「うん……?」 「私の初恋って、ユーノ君だから……」 「………………」 「私が好きになったのはユーノ君だけだから……ね♪」 「あ、あはは……しまった、恥ずかしい」 「でも、嫌じゃないよこの恥ずかしさ」 「……そうだね」 「うん♪」 「(帰っていいかな? 私、本当に帰っていいかな?)」 《ま、マスター……そろそろ時間なので最後のお便りを》 「あ、もうそんな時間なんだ」 「時間が過ぎるのって早いね」 「そうだね」 「(全編通してお前達の痴話喧嘩とイチャつきで時間が消費されたんだが……)」 「それじゃ、最後のお便りにいこうか、なのは」 「……うん!」
「プロデューサーから指示が来た」 「なんて?」 「“もう……好きにしてください”だとさ」 「それじゃ、思う存分イチャつかせてもらいます」 「ゆ、ユーノ君……っ!?」 「それじゃ、始めようかなのは」 「あ……うん♪」 「まさか皆が一斉に休暇を取るだなんて思わなかったなぁ……」 「ボク1人、っか」 「…………勤務時間終了まであと3時間、っか」 「…………」 「…………はぁ」 「あの…………」 「どちら様……なのは?」 「うん……メリークリスマス、ユーノ君」 「めりーくりすます?」 「あ、ユーノ君は知らないんだ」 「何を?」 「今日はね、私達の世界だとクリスマスっていう日なんだ」 「くりすます?」 「そ、クリスマス」 「……何の日なの?」 「う〜ん……よく、分かんないや」 「へ?」 「楽しみ方が色々あってね、よく分からないや」 「うーん……お祭りなのかな?」 「そうだね。そんな感じだよ」 「ならこんな所に来ないでお祭りに行けばいいのに」 「ユーノ君も呼ぼうと思って。あ、アリサちゃん家でパーティーをしてるんだ」 「あ、そうだったんだ」 「うん。ユーノ君にも連絡しておいたんだけど、届かなかった?」 「最近、ずっと書庫に詰めてたからなぁ」 「そっか」 「ボク、あと3時間は帰れないんだけど……パーティ、何時まで?」 「9時までだから……丁度終わっちゃうね」 「そっか、残念」 「ユーノ君、来れないかな……?」 「うん。今日中に終わらせなきゃいけない仕事もあるから」 「……分かった」 「ごめんね、なの」 『あ、アリサちゃん? ごめんね……うん……だから……じゃあね』 「……なのは?」 「私もお仕事手伝うよ」 「だってパーティーが……」 「私はね、ユーノ君」 「…………うん」 「整理整頓って、結構好きなんだ」 「へ? あ、うん、整理整頓ね、整理整頓ね」 「どこから手伝えばいいかな?」 「あ、それならアレとコレを向こうに持っていって」 「うん、任せて♪」 「ありがとう、なのは」 「どういたしまして。……あ、ユーノ君」 「なに……ん……んんっ」 「ん……っ………」 「ぷはっ」 「2人っきりだから……ね♪」 「……あ、あはは」 「……いつ終われるのかな、このラジオ」 「僕達で締めてくれって、プロデューサーが」 「クロノさん?」 「そうだ。改めて確認することでもないだろう?」 「ちょっと、似てる人がいましたから」 「似てる人……あぁ、アイツか」 「初めて会った時はびっくりしませんでした?」 「まあね。って、そんなこと話してると時間が」 「あ、もう締めな時間が」 「―――この番組は」 「“FC2”と」 「“けもの堂”」 『“ExpensiveNoise”の提供でお送りしましたー』 「好きだよ、ユーノ君……大好き」 「ボクも、君が好きだよなのは」 「……えへへへへ♪」 地上波バージョン(?)終了 WEB配信バージョン(?)はこちらへ。 |