†シグナムさんは高校生†

 私立聖祥大学付属高等学校2年A組。
新年度を迎えたこの教室に、1人の転校生がやってきた。
扉の開く音の後に聞こえてきたのは、驚きと感嘆の声。
クラス中の全ての視線は教室に入ってきた彼女に注がれる。

「や……八神シグナムです。よ、よろしくお願いします」

 淡い桃色の髪を揺らして一礼した少女は、リンゴのように真っ赤な顔をしていた。


†お弁当の時間†

「ねね、シグナムさんって八神先輩の親戚か何かなの?」

 昼休みになるやいなや、隣の席に座る少女に話しかけられるシグナム。
非常に人懐っこい娘で、朗らかで、シグナムともすぐに仲良くなった娘だった。

「ええ。……ね、姉さんは大切な家族です」

 言葉に詰りながら、顔を赤くして俯かせ答えるシグナム。
大人びた容姿の彼女がみせる可愛らしい仕草に吼える男子。

「うぉおおおおおおおおおおおおっ!」
「男子、煩いよ!」

 女子による男子へのチョーク一斉射撃。
だが、粉塵を巻き上げ、数々の犠牲を支払いながらも男子は吼えることをやめようとしない!

「萌えが、俺達の心を熱く滾らせる萌えがあるんだぁあああああっ!」
「アンタ達みたいなのがいるからぁあああああああっ!」

 乱闘開始。
阿鼻叫喚の地獄絵図が繰り広げられる。

「主はやてが姉さんだなんて……はぅぅ」

 そんな光景には気づかず、シグナムは昼休みが終わるまで真っ赤になったままだった。


†それは回想†

「なな、シグナム。高校に行かん?」

 五月の連休初頭、家でくつろいでいた時にはやてがそんなことを言った。
彼女の言葉に困惑顔になるシグナム。主の言葉の真意を計りかねたからだ。

「い、嫌そうな顔やな……」

 そんなシグナムの反応に肩を落としてしゅんとなってしまうはやて。

「そ、そんなことはありません主はやて! 行きます、是非行かせてもらいます!」

 反射的にそう言ってしまうシグナム。

「ほんまか! よっしゃ、実はレティ提督にはもう話を通しててな〜」

 ぱっ、と上げた顔に晴れやかな笑みが浮かんでいたのを見てシグナムは己が嵌められたことに気づいた。

そんな学生ネタ


†趣味†

「通れ……通れ通れ通れ! グォオオオオオッ!」

「こんなもの、引きちぎってくれる!」

「我は盾の守護獣ザフィーラ! この程度の痛みなぞ痛みの内に入らぬ!」

「終わった……何もかも……」

「いや……アルフのためなのだ。諦めるわけにはいかぬ!」


「……ザフィーラ、何やってるん?」
「アルフさんへのホワイトデーのお返しらしいですよ?」
「裁縫してるんだってさ。ギガ煩せぇ」
「尻尾と耳までばたつかせて……騎士としてあれはどうなんだ」
「あら、シグナムだってこの前」
「しゃ、シャマル!? それは秘密にしておいてくれと……ッ!」

そんな八神家。


†微妙なお年頃†

「お誕生日おめでとー! エイミィー!」
「ありがとー!」
「これでにじゅうにさグハァッ!?」
「余計なことは言わないでよろしい、クロノ君」
「クロノ君の額にフォークが刺さっとる……」
「……歳なんて、ほっとけば誰でも取るものだろグァァッ!?」
「いいから純粋に祝えぇええええっ!」
「エイミィ、クロノの顔が青ざめてるからやめてぇっ!?」
「…………」
「にゃ、にゃはは……大丈夫、クロノ君?」
「大丈夫だよ。リーゼ達の仕打ちに比べたら私なんて可愛いモノ!」
「胸を逸らしてして偉そうに威張るなっ!」
「ふふーんだ」
「……可愛いモノ、かぁ」
「……可愛いモノ、かぁ」
「どうしたの? なのは、はやて」
「あたしも下を向いても足が見えない体型になりたい……」
「……ううぅ」
「え、えーっと……」

そんな誕生日。男はクロノ1人。
おのれハーレムおのれ!






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